岡崎 隼人の「書店怪談」を読んだ。
本屋が大好きな人ほどじわじわくるホラーである。
構造としては、書店にまつわる怪談を集めて「実話風ホラー」を作ろうという企画がまず提示される。最初にその“本の企画”が明かされるので、読者は自然と「怪談そのもの」だけでなく、「それを集める側に何が起きるのか」を見ることになる。ここが『書店怪談』の上手いところだ。
怪異の話を読んでいるはずなのに、だんだん本当に怖くなってくるのは、怪談の中身よりも、怪談に関わった人間の壊れ方だったりする。
特に印象に残ったのが、担当編集の菱川さんである。
大手出版社勤務の、いかにもスマートで仕事ができそうな好青年。
そんな菱川さんが、全国の書店員から怪談を集め、宣伝も兼ねて企画を広げていくうちに、少しずつおかしくなっていく。
この“ちゃんとした人”が崩れていく感じがとても怖い。眠れなくなり、飲めなかった酒を飲むようになり、連絡の時間もおかしくなり、怪異の現場にのめり込んでいく。派手な絶叫より、こういう生活の綻びのほうがよほど嫌である。
しかも『書店怪談』は、その異変を単純に「呪われた」で片づけない。最終的に菱川さんには「適応障害」というラベルが貼られる。この結末がいかにも現代的。
「その後の姿を見た者はいない!」のほうが怪談としてはそれっぽいのかもしれない。
でも現代社会は、そういう得体の知れないものをそのまま放置しない。病名をつけ、整理し、いったん棚に上げる。その処理の仕方がなんか本物っぽくて怖いのだ。
一方で、『書店怪談』には有名なホラー作品や作家、怪談師が実名で出てきて、そのメタ感も面白い。面白いのだが、あまりにメタ的な要素が多いので、「ああ、こういう作品を目指しているのね」と少し斜めから見てしまう。
あまりにもメタ的な要素が多すぎる策士策に溺れる的な?
誰がどこから言ってんだ、って話ですが。
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「お客さんに言われたんですよ。盛り塩した方がいいよ。ここ、なんかいるからって」
小説家・岡崎隼人は最新作『だから殺し屋は小説を書けない。』を出版したことをきっかけに、書店員とよく話すようになった。ある日、地元・岡山市の新刊書店を訪れると、店長が盛り塩をしているのを目撃する。数週間後、岡崎は別の書店でサイン会を開くことになったが、そこでも奇妙な体験談が寄せられていることに気づく。
新作が思うように書けず焦っていた岡崎は、担当編集の菱川と話し合い、書店にまつわる怪談を集め、モキュメンタリー調に書き直したホラー小説にすることを思いつく。怪談は続々と集まり、順調に執筆は進んでいたが、寄せられた怪談には共通点があることに気づく。岡崎と菱川は、その共通点を探るため、さらなるネタ探しに乗り出すが、次第に恐ろしい真実に近づいていく。
次に読みたい本
作中紹介される「百物語 杉浦日向子」読んだつもりだったけど、読んでないことに気づく。私が読んだのはこっちだ!百しかあってない!


