鯛夢 の「ある設計士の忌録」を読んだ。
なんともスケールのでかい、明るく楽しい怪異譚である。
気になっていたこの作品、全8巻のうち4巻までKindle Unlimitedに入っていたので読み始めたのだが、これがかなり当たりだった。
実話系の体裁を取りながら、出てくる怪異はなかなか壮大である。映画にしたら、もう半分SF寄りではないかというくらいの案件が次々出てくる。
こういう「超絶能力者」が普通の市井の人物として(しかもそれなりに俗物として)描かれているのはイイね!
物語は、建築士をしている「私」が出会った、さまざまな怪異を語る形式で進んでいく。主人公自身にも霊感はあるのだが、残念ながら対処能力はまるでない。
見えるのにどうにもできない。なので、いざという時に頼るのが「先生」と呼ばれる設計士である。
この先生がとにかくすごい。現代の陰陽師みたいな力を持ち、封印の解かれた疫神を鎮めたり、いわくつきの土地を浄化したりと、やっていることはほぼスーパーマンである。
ただ、この「ある設計士の忌録」の面白さは、先生がものすごい力を持っているのに、人格はどこか俗っぽく、なかなかお金にも細かい中年親父として描かれているところ。
むしろ、その俗物感があるおかげで「こういう人、ひょっとして本当にどこかにいそうだな」と思わされる。
人間くささで作品の信憑性を支えているというか。
2巻から登場する、設計事務所の事務員であり神社の娘でもある璃子もいい味を出している。
「ある設計士の忌録」は怪異そのものも面白いのだが、こうした周辺人物の配置がうまくて、シリーズものとして読む楽しさがちゃんとあるのだ。
不動産と怪異が結びつくことで、話に独特の現実味が生まれているのも好みだった。土地、建物、因縁。
絵柄はかなりクセが強めで、最初は少し戸惑ったのだが、読んでいるうちにだんだん気にならなくなる。
スケールの大きな「不動産系不思議譚」として、かなり満足度の高いシリーズだった。
この表紙が「先生」かっこよければただの絵空事になってたかもしれない。
工務店を営む“私”が仕事の上で時折出会う、安易に手出しできないブラック案件。そんなときに彼が頼るのは、不思議な力を持つ“先生”。その男は法外なギャラと引き換えに、磁場や霊力がうごめく様々な土地建物の秘密を解き明かしていく。
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つくづくこの表紙怖すぎるやろ、と目が話せない。

