葉山嘉樹の「死屍を食う男」を読んだ。
なんておどろおどろしい竹書房っぽいタイトルでしょう。
葉山嘉樹といえば、教科書に載っているプロレタリア文学「セメントの樽中の手紙」が有名な作家。
「私の恋人はセメントになりました」
「この樽の中のセメントは何になりましたでしょうか」
・・・ってセメント樽の方もかなり怖かったけど、「死屍を食う男」はストレートな怪奇小説。
タイトルに引かれて読み始めたが、短い話だがしっかり怖かった。
同じ学校の生徒が溺死をしてから、安岡はなかなか眠れないようになっていた。
ところが、寄宿舎で同室の深谷のほうは、自分よりよっぽど弱々しい外見なのに、すやすや眠っている。
この時、眠れずに数を数える安岡の焦りに似た気持ちがぐぐっと迫ってくる。
眠れないから数を数えてみて、それがだんだんと大きな数字になるあの感じ。
なのに同室の人間の寝息が聞こえてくると、ますます追い詰められたような気分になる。
そんな時安岡は、誰かが自分の顔を覗き込んでいるように感じる。
身を固くしているとふいっと気配は部屋の外に出て行ってしまう。同室の深谷か?
そんなことが幾日か続き、安岡はとうとう深夜に出て行く深谷の跡をつけることにした。深谷は向かった先は、先日亡くなった生徒を埋葬している墓地ではないか!!!!
でもね、私ちょっとだけ不満があります。タイトルに「深谷は何をしているのか」書いてあるんだもん。食べてました、深谷、死体。
ネタバレがあったとしても、深谷がノコか何かで死体の棺桶を壊すシーン、めちゃくちゃ怖いから。ぷちっていう擬音、まじでやめてー
翌朝の深谷の発言もこれまた、怖い。
結局安岡は恐ろしいものを見たという繊細な理由で亡くなってしまう。
なにかに取り憑かれていたのか、深谷もやっぱり亡くなってしまう。
世の中には知らなくてもいいことがありますね。から始まった物語はこんな終わり方をする。


ちょっとNanobananaで遊んでみた。
挿絵ひとつでそんなに怖くなくなりますね。不思議
日本のプロレタリア文学を先導した作家、葉山嘉樹の短編小説。初出は「新青年」[1927(昭和2)年]。中学の寄宿舎の同じ室に住む深谷と安岡。人間嫌いの深谷が毎晩一人で室内を出て行くことを不信に思った安岡は、或る晩、彼の後をひっそりついていく。すると、深谷は墓地へ向い、何とそこで死骸の肉を食い始めたのだった。プロレタリア作家には珍しい怪奇小説。

