矢樹 純の「彼女たちの牙と舌」を読んだ。
塾で出会った「ママ友」たちが織りなすクライムノベル。彼女達舌はたくさんの嘘とほんのちょっとの真実しか話さない。
そして、彼女たちの牙では、半グレの男たちには全く太刀打ちできない。ように見える。
ちょっと桐生夏生の「OUT」を彷彿とさせる物語。
中学受験を視野に入れる家庭が集まるのだから、みんな余裕のある暮らしなのだろう、と思うじゃない?ところがどっこい、外面と内面の落差がえげつない。
表向きは「お金の問題」に見えるのに、その奥には「子どもを守りたい」「家庭を壊したくない」という切実さが詰まっている。法を犯してでも手に入れたいものがある、という点で彼女たちは危うい。でも動機が“家族”に結びついているところが、いかにもママ友の犯罪で、妙に現実味があるのだ。
構成も良い。四人の女性が章ごとに本音を語るのだが、語りが変わるたびに「え、今まで見てた人物像は何だったの?」となる。
華やかな生活をしているように見えた女性が、実は横暴な夫に搾取されていて自分で稼ぐしかなかったり、しっかり者の看護師が、家庭の事情で家計が火の車だったり。自立して見える人ほど、背負っているものが重い。守るためには、やっぱりお金が要るのだなと、嫌な方向に納得してしまった。
矢樹 純の「彼女たちの牙と舌」は、その“納得の苦さ”をうまく転がしてくる。
そしてこのミステリー、どんでん返しが一発ドカンではなく、小さなどんでん返しがさざ波みたいに何度も来る。
最初は表面上の付き合いに見えた四人も、終盤では協力して悪者に一杯食わせる場面があって、そこが妙に痛快で、なかなかやんちゃなのである。
何より安心したのは、彼女たち同士の“致命的な裏切り”がなかったことだ。
悪いやつも悪いなりに(なぜか)心遣いがあって、最後の着地が変に後味悪くならない。
結局みんなめでたしめでたしで、スッキリ。
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母親4人が語り合うのは,
中学受験対策と犯罪計画!?年代も仕事も家庭環境も異なる母親4人が出会ったのは、進学塾の保護者説明会だった。それをきっかけに、定期的に集うようになるが、ある日、詐欺事件に巻き込まれ……。笑顔の裏に隠された噓、嫉妬、後悔、嫌悪。敵は詐欺グループか、それとも笑顔のママ友か。
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