三宅 香帆 の「考察する若者たち」を読んだ。
またすごいものを書いてしまったな、三宅香帆!
読みながら彼女の説に説得されまくりだった。
実はイマイチ理解できていなかった「ファン」と「推し」の違いがわかった。
推しとは、好きなだけではなく「応援したい理想」なのだ。
つまり、下から崇めたい存在だから、ファンと結婚はあり得ても、推しとは結婚できない(というか、しなくてもいい)。……と私は理解した。
他にも、私の学生時代と違って、最近の若者の就職先の選び方では、「好きなこと」や「やりがい」を追い抜いて、「自分が成長できるかどうか」が上位らしい。
ほーん。
でもそれってさ、会社に搾取されるぞー。「ブラックだけど成長できるよ」なんてね。
全体を通して目からウロコの話が多くて、いや、やっぱり新書ってすごいわ。
タイトルで掲げられている「なぜ若者たちに考察が人気なのか」について、彼女はこう語る。
読書感想や批評は、その人がどう思ったかであり、それはわざわざ言ってどうなるものでもない。ひろゆきの「それってあなたの感想ですよね」が示しているように、感想は個人が勝手に持っていればいいのだ。(というのが現代の若者たちのお気持ちだ)
だが、考察はその物語の「答え」だ。
せっかく読んだ物語の「答え」がわからないと、自分が支払った時間が「報われない」と思ってしまう。
最近は、考察されるポイントを意図的に仕込んだ小説『変な家』や、ドラマ『あなたの番です』などが大人気なのも、きちんとわかりやすい答えが用意されているところにあるのかもしれない。
ああ、そういえば私も、もやもやする読後感の本を読んで「むずかしい」「スカッとしない」「もっと簡単にしてくれ!」とよく言っている。最近の若者じゃないけど、どうやら簡単にカタルシスを与えてくれるものが楽でいい、と思っちゃってるのかもしれない。
三宅香帆は、こんな感じの気づきを、批評家だけあって、たくさんの本や漫画を引用しながら教えてくれた。おかげで読みたい本が山積みになった。
ちなみに、終章で語りかけられる内容はとってもエモい。
前作の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』でも思ったけど、この人はとっても熱い言葉を持っている人である。
昭和生まれの我々から見れば、あなたこそ若者でしょう、と思うのだが、彼女の若者へのエールはぜひ多くの人に聞いてほしい。

なぜ映画を観たあとすぐに考察動画を見たくなるのか? 映画やドラマ、漫画の解釈を解説する考察記事・動画が流行している。昭和・平成の時代はエンタメ作品が「批評」されたが、令和のいまは解釈の“正解”を当てにいく「考察」が人気だ。その変化の背景には、若者を中心に、ただ作品を楽しむだけではなく、考察して“答え”を得ることで「報われたい」という思考がある。30万部超『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』著者が令和日本の深層を読み解く! 「平成」と「令和」で何が変わったのか?
●「批評」から「考察」へ 正解のない解釈→作者の意図を当てるゲーム ●「萌え」から「推し」へ 好きという欲求→応援したい理想 ●「やりがい」から「成長」へ 充実しているという感情→安定のための手段 ●「ググる」から「ジピる」へ 複数の選択肢から選ぶ→AIが提示する唯一の解
■目次
まえがき――若者が考察動画を検索する理由
第1章:批評から考察へ――『あなたの番です』『変な家』『君たちはどう生きるか』
第2章:萌えから推しへ――『【推しの子】』『アイドル』『絶対アイドル辞めないで』
第3章:ループものから転生ものへ――『転生したらスライムだった件』『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
第4章:自己啓発から陰謀論へ――堀江貴文『多動力』、ひろゆき『1%の努力』
第5章:やりがいから成長へ――『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』『働きマン』
第6章:メディアからプラットフォームへ――『スマホ脳』『一般意志2.0』
第7章:ヒエラルキーから界隈へ――『スキップとローファー』『違国日記』
第8章:ググるからジピるへ――ChatGPT、『NEXUS』『わたしを離さないで』
第9章:自分らしさから生きづらさへ――『世界に一つだけの花』、『世界99』、MBTI
終章:最適化に抗う――そして『スキップとローファー』『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』
あとがき――やりたいことや自分だけの感想を見つけるコツ
参考文献――「考察の時代」を理解するための本
次に読みたい本


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