春口裕子 の「行方」を読んだ。
初読みの作家さんだが、どうやらイヤミス作家と呼ばれていると知りちょっと意外。
イヤミスと聞くと、こちらの心をねっとりと逆なでしてくる展開を身構えてしまうのだが、少なくとも「行方」はその方向には振り切ってこない作品だった。
たとえば、子どもを亡くして半狂乱になった母親が実は犯人だった、というような展開も理屈としては成立しそうだが、正直それをエンタメとして消費したいかと言われると微妙。
その点「行方」は、もっとイヤ〜になってもよさそうな場面を、あえてあっさりと流していく。地域住民から白い目で見られ、虐待の噂まで立つ過去が示されるのだが、湿度高めに描き込むことはしない。母親の半狂乱がやっぱりちょっと理性的でこの距離感が、読者を消耗させない。(が嘘くささも若干。そんなわけでちょっと疑ってた)
とはいえ、違和感の種はちゃんと蒔かれている。ママ友のレモンちゃんのお母さん、この人物がとにかく怪しい。結局この人は何だったのか、と読み終えてもしばらく考えてしまった。レモンちゃんが不幸すぎる。
後半で登場する楓と誠司の親子も、なかなかの緊張感だ。誠司の怪しさを知らず、ただ父親思いでいる楓とのやり取りには、読んでいてハラハラする。
誠司の悪事を暴くために乗り込む幸子たちの場面では、幸子とその彼氏が見た目にそぐわず超いい人なので、こちらの気持ちまで救われる。
楓も結局近所の年下の男の子と縁があり、最終的にはきちんとハッピーエンドに着地する。
この作品、この彼氏二人の存在によって、かなり得点上げているよな。
ミステリーというよりサスペンス寄りだが、後味は思いのほか明るい。とはいえ、お姑さんは相変わらず相当手強くて怖い。
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公園から忽然と姿を消した三歳の琴美。両親は必死に捜すが、一向に見つからない。――22年後。自堕落な生活を送る幸子のもとに、一通の手紙が届く。差出人は、消息不明の妹を捜し続けている男だった。同じ頃、浜名湖畔で楓は父親の誠司とペンションを営んでいた。ある日を境に、誠司に対して不信感を抱く楓。父は何か秘密を抱えて生きているのではないか。交わるはずのなかった人生が交錯したとき、浮かびあがる真実。切ない想いが胸を満たす長編ミステリー。
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