寺地はるな の「川のほとりに立つ者は」を読んだ。
初読みの作家さん面白かった。本屋大賞ノミネート、なるほど。
物語は、コロナ禍という不安定な時代背景の中で、清瀬と松木という二人の視点から交互に描かれていく。
過去に一度関係がこじれてしまった二人は、ある事故をきっかけに再び向き合うことになる。
事故後、意識不明となった松木が所持していた緊急連絡先に清瀬の番号があり、そこから物語は大きく動き出す。
とりわけ印象的だったのが、松木の友人・いつきと、その恋人・天音の存在だ。天音は一見ただの“ひねくれ者”に見えるが、読み進めるうちに、彼女の嘘がどれほど周囲に波紋を広げたか、そして彼女自身の不器用な生きづらさが見えてくる。主人公が彼女に善意で手を差し伸べたのに、あっさりと拒絶されるシーンは胸に刺さる。
フィクションでは、差し伸べた手を最終的には掴むものだ。だが現実ではそうならないこともある。そうした“手を振り払われる”現実に清瀬は打ちのめされる。
本作では、発達障害やディスレクシア、ADHDなど、目に見えないハンディキャップを抱えた人々が複数登場する。彼らが社会でどう扱われているか、また自身の特性とどう向き合っているかが丁寧に描かれていて、それぞれが“誰か”のように思えてくる。
「視力が悪ければメガネをかければいい。でも、発達の凸凹には“努力が足りない”と責められるのはなぜか」
もはや、発達の凸凹は濃淡の差こそあれ誰にでもあるといえる。
頑張っている人こそ視野が狭窄に陥ってしまう。
私はがんばってやってるんだから、やればできるはずだと。
やってもできない事があるのだ誰にでも。
そう言えば、子どもの頃から忘れ物の女王と言われるほど忘れ物を重ねてきたが、他の人がそんなに努力せずにものを持ってこられることを大人になってから知る。
なっ・・・(絶句)みんなずるい、と思ったのを思い出した。
いろいろな人がいる、そのことを知りすこしだけ優しくなれた清瀬の成長の物語とも言える。
川のほとりに立つものは、川底の石がみえないと続く。
当事者でなければ気付けない事がある。
だが、ほとりに立つものは手をさしのべることはできるのだ。
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カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
次に読みたい本
優し読後感と当たり前がいかに尊いものか気づかせてくれる物語という意味でこちらもオススメ。
