朝井 リョウの「特集:キトヴォラの今 桑原友紀さん(仮名)の場合」を読んだ。
「キトヴォラ」と「けみさゆろ」の2つの謎の言葉を使ったストーリ。
とっても短い話ながら、最初から最期までこの2つの単語の意味は語られない。
キトヴォラを行うことを決意した、けみさゆろの当事者、桑原さんの取材記事という体裁がとられているのだが、最後まで聞いても2つの言葉の意味はわからない。
正解はないのかもしれない。
ただ、キトヴォラに関しては限りなく「安楽死」に近いもの(ただし死ぬわけではなくもう一度産まれ直すといったイメージ)人生のリセットボタンを押す行為なのかな?
なんとかガチャという思想にちかいのかな。外れだったからもう一回、みたいな。
そして、けみさゆろについては、ますます謎めいている。
なんだか生きづらい、他の人と違うなとおもっていたら自分は「けみさゆろ」だっとことがわかった、とか。
けみさゆろから逃げるために「キトヴォラ」を行うが、それは同じけみさゆろ同士のなかでも、「逃げじゃないのか?」という分断が起こっているとか。
うーん、これはトランスジェンダーの抱える問題に近いのかもなぁ。
結局、読み終わっても気持ちよく「しっくり来る回答」がもらえない。
スッキリさせないところが、この話の持ち味なのかもしれない。
ただ、とても短い話なのでかまいたちに襲われたかのごとく、はて?と思っているうちに気がついたらあった傷みたいなのが残る読書体験でした。
ちなみにこちら、文芸誌GOATに掲載されていたものらしく、掲載時は特別な黒い紙に印刷されていたそうだ。私はAudibleだったのでわかんないのだが、それはさぞや「不思議な気分」になっただろうなぁ
究極の黒い紙として知られる「NTラシャ 漆黒」――この特殊紙に載ることを念頭に、著者が創作したショート・ストーリー!
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