万城目学の「あの子とO」を読んだ。
前作で主役だった吸血鬼の少女・弓子は今回は脇役にまわり、物語の中心には、弓子を救った佐久、彼の親戚の双子の小学生ルキアとラキア、そして弓子の友人・よっちゃんがいる。
「あの子とO」というタイトルのとおり、O=Others(怪物たち)をめぐるエピソードが、それぞれの視点で綴られる。
特に印象的だったのは、最後の双子の話。狼男まで登場するにぎやかな展開で、某アニメ映画を思い出してしまった(あれね、あれ)。でも、明るく軽快なトーンの中に、確実に重たいテーマが流れているのが万城目学らしい。
友人のよっちゃんのパワフルさは真似できない。おもしろすぎる子だ。
そしてやっぱり、佐久のパートが沁みる。不老不死となった彼の哀しみ、自分の存在を語るモノローグにぐっとくる。
「歳を取らない」というのは、うらやましがられることかもしれないが、実際はかなり過酷だ。流行も価値観も家族もすべてが変わる中で、ただ一人変わらないまま生き続ける孤独。アンチエイジングくらいがちょうどいい。永遠なんて、背負いきれない。
江戸時代、佐久に血を吸い返り討ちにされたオランダ出身の吸血鬼。その息子は、いまだに佐久を親の仇とつけ狙っているという設定も面白い。
実は佐久は仇じゃないのに、それでも執念は止まらない。こういう「すれ違いの因縁」にぐっとくるのは、時代を超えてなお続く“誤解”というものが、人間ドラマの根源だからだろう。
結局、佐久はまた姿を消してしまう。どこかで安らかに過ごせていればいいのだけど。彼の過去も未来も、もっと知りたい。このシリーズ、「Q」から始まり、「O」まで来たということは、次は「P」か「R」か?いずれにせよ、続いてくれることを願っている。
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吸血鬼一家が営む山奥のピッツェリア。
ある日、新たな仲間が加わることに!
漫画家を目指す双子の小学生吸血鬼、ルキアとラキア。
二人はスランプから抜け出すため、ピッツェリアに見習い職人としてやってきたオーエンさんにキャンプに連れて行ってもらうことになった。
オーエンさんには吸血鬼だということは知られてはいけない。でもその夜、ある事件に遭遇し――。
変速するヴァンパイアストーリー全3篇。
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