栗田 シメイの「ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス」を読んだ。
最初にタイトルを見たとき、てっきりエンタメ小説かと思った。いや、「ルポ」と付いていても、だ。だがその中身は、実際は一つのマンションで本当に起こった「管理組合対住民」の壮絶な争いを克明に描いたノンフィクションだった。
渋谷にほど近いこのマンション、立地は最高で、建てられた当初はおしゃれで人気の物件だったらしい。だが今では、同じ立地の他物件と比べて価格が1,000万円も下がっているという。理由はひとつ。管理組合が強すぎるから。住民からは「日本の北朝鮮」と揶揄されるほどだ。
何しろ、Uber Eats禁止、5時以降の業者立ち入り禁止、引っ越し時の荷物検査、さらに住民の人間関係にまで口を出すなど、まるでディストピア小説のようなルールがまかり通っている。「ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス」は、そんな現代日本とは思えぬ世界を、実際に存在した事例として記録している。
管理規約にも載っていない“謎ルール”が乱立し、それに異を唱えると攻撃される。まさに圧政。だが、物語はそこでは終わらない。ある日、たまりかねた数人の住民たちが立ち上がり、改革に乗り出す。
中でも中心となった女性がすごい。自らが乳がん治療中でありながら、仲間集めや証拠集めに奔走。まさに信長タイプの突破力で物事を前に進めていく。だがその反面、強いリーダーシップに周囲がついていけず、内部分裂の危機に。
それでも彼女は諦めず、リーダーを調整型の人物にバトンタッチし方向転換。勝利を優先した判断が功を奏し、最終的には総会で過半数を取り、旧体制を打倒する。…ってこれ、戦国時代の大河か何かですか?
だがこれは現実に起きた出来事。自分が住む「家」で、ここまで戦わなければならないという状況に、戦慄を覚える。
マンションの管理組合 という一見地味な素材で、こんな民主主義とはなにかを問われるドラマが見られるとは思はなかった。
いやー面白かった。おすすめです。
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「東京渋谷区の一等地に、とんでもないマンションがある―」
すべては、一本の電話から始まった!マンション自治を取り戻すべく立ち上がった住民たちの闘争1200日
新宿駅からわずか2駅、最寄り駅から徒歩4分。都心の人気のヴィンテージマンションシリーズにもかかわらず、相場に比べて格段に安価なマンションがあった。その理由は、30年近くにわたる一部の理事たちによる"独裁"管理とそこで強制される大量の謎ルールにあった。身内や知人を宿泊させると「転入出金」として1万円の支払い、平日17時以降、土日は介護事業者やベビーシッターが出入りできない、ウーバーイーツ禁止、購入の際の管理組合との面接......など。過去、反対運動が潰された経緯もあり住民たちの間に諦めムードが漂うなか、新たに立ち上がった人たちがいた!! 唯一の闘いのカギは「過半数の委任状を集めること」。正攻法で闘うことを決め、少しずつ仲間を増やしていくが、闘いは苦難の連続だった......。マンションに自治を取り戻すべく立ち上がった住民たちのおよそ4年にわたる闘いをつぶさに描いたルポルタージュ。
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先日ゆる言語学ラジオで紹介されていた本。

