嶽本野ばらの「ミシン」を読んだ。
いやー世界観がすごい。嶽本野ばらの作品は、映像化されたものも多く、その名はずっと耳にしていたが、実はこれが初読である。いやはや、これが処女小説とは信じがたい完成度。
表題作「ミシン」も、「世界の終わりという名の雑貨店」も、徹底した美意識によって構築された世界で、隅々まで作者の美学が息づいている。
特に心に残ったのは、「お洋服のブランド」が物語の中で果たす役割の大きさだ。「ミシン」「世界の終わりという名の雑貨店」いずれも、自分を「ぱっとしないイモ娘」だと認識している少女たちが、ブランド服との出会いによって変身していく様子が描かれている。これは単なるオシャレ願望の話ではない。誇り高く、極端で、純粋すぎる乙女たちの内面が、服という媒体を通じて発露されていく。その姿がなんともいじらしく、そして美しい。
「ミシン」は、少女たちの心の奥に潜む美意識と憧れを、静かに、しかし確かに炙り出してくる。少女たちは、流行ではなく「自分の世界」に適うものを選び取っていく。それはまるで、周囲の評価よりも、自分自身を信じる力を確認するかのようだ。
正直に言うと、若い頃この「ミシン」に出会わなくてよかったと思ってしまった。もし読んでいたら、きっと私も、高価なブランド服こそが自分を変えてくれる「鎧」だと信じて、無理をしてでも身にまとおうとしていただろう。それではお財布が持たないではないか。
「ミシン」の中で語られる変身は、単なる外見の変化ではない。服を着ることで社会と自分の接し方を把握するのだ。まさに「魂の入れ物」とでも言いたくなるような深さがある。
世の中にはユニクロで我慢できない人たちと、あれを制服のように着る人達がいるのだもんなぁ。
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孤独な青年雑貨店主と、心に病をもつ少女――Vivienne Westwoodの洋服を愛する二人が運命的に出会い、はかない逃避行に旅立つ名作「世界の終わりという名の雑貨店」、そして、MILKの洋服を華麗に着こなすカリスマ・ヴォーカリスト、ミシンに恋する少女の「乙女」としての生きざまを強烈に描いた表題作「ミシン」を収録。

