向坂くじらの「踊れ、愛より痛いほうへ」を読んだ。
少女「アンノ」の理解されない生きづらさを丁寧に描いた作品。
「割れる」という感覚に、これほど説得力をもたせた表現があっただろうか。少女「アンノ」は、傷つかないために、必死で自分が割れないようにしていた。理解されない生きづらさ、繊細すぎる心の防衛。
どうしても私は「コマッタチャン」とラベルをつけてしまうけれど、そうじゃないのだ。彼女は、あくまで生き延びるためにそうしている。
「踊れ、愛より痛いほうへ」は、そんなアンノの物語だ。彼女が「割れる」ポイントは、世間のそれとは少しズレている。多くの人が愛されないことで傷つく一方で、アンノは「無条件に愛されること」によって深く傷つく。なぜなら彼女は知っているのだ。母親が「この子のバレエにお金がかかるから」という理由で、下の子を中絶したことを。産まれてこなかった妹の存在が、彼女に消せない罪悪感を刻みつけている。
アンノはそれを自分の中で抱えきれず、「割れないように」ひとりで耐えている。やがて、彼女は家出をする。といっても庭にテントを張って住み始めるという、なんとも子供じみた手段だ。だがその行為には、「家には戻らない」という意思と、「完全には離れられない」という矛盾した葛藤がにじむ。家は出た、でも庭は出ていない。この半端さが、彼女の痛みをよりリアルに見せる。
やがて彼女は、恋人の祖母と不思議な距離感で打ち解けていく。恋人と別れた後もその祖母の家に入り浸るほどに。その祖母の一言が胸に残る。
「あなたは一人で生きていけると思っている。とても傲慢だわ」
アンノが母親の愛を拒むのは、もしかすると「誰の助けも必要としない」という傲慢さなのかもしれない。
ラストは、「この世」と「あの世」のあわいのような空間で、彼女がただ一人踊るシーンで締めくくられる。「踊れ、愛より痛いほうへ」というタイトルが、この瞬間、静かに胸に突き刺さる。どうしてもこんなふうにしか生きられない人がいる。そのことを思い知らされるような、切なくも美しい結末だった。
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初小説にして芥川賞候補作となった『いなくなくならなくならないで』に続く、向坂くじらの小説第二弾! 幼い頃から納得できないことがあると「割れる」アンノは、愛に疑念を抱いていて――
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同じ作者の芥川賞ノミネート作。こっちが先立ったか。
雑談
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