iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

『ミーツ・ザ・ワールド』映画化されてるから読んでみた

金原 ひとみの「ミーツ・ザ・ワールド」を読んだ。

 

初めて彼女の作品を読んだけど、めちゃくちゃ面白かったー

映画化されてちょうど今上映されているのだが、その予告編まで巡回してきてしみじみ良かったなーと思い返す。

 

『ミーツ・ザ・ワールド』は、希死念慮を抱える美しい女性ライと、自称腐女子で自己肯定感の低い由嘉里の物語である。

 

由嘉里はライに生きてほしくて、必死で寄り添おうとする。だがその「優しさ」すら、ライには重荷になってしまう。彼女の「死にたみ」は、単なる気まぐれや悲しみの延長ではない。生き物の根源にある「生きたい」という欲望すら持てない状態とは、いったいどれほどの絶望なのだろうか。

 

少し前、近所の高校で生徒が自死を選んだ。

 

学校側のコメントは「いじめはない、もともと希死念慮が強かった」というものだった。そのとき感じたモヤモヤが、作品を読むうちに再びよみがえってきた。

 

希死念慮」は病気なのか、あるいはLGBTQのようにその人が持つ固有の特性なのか。

 

あのとき口をつぐんでしまったが、この本によって“この世界に存在しないことを望む人”と向き合う視点を得たような気がする。

 

正解はないのかもしれないけど、「あなたに生きていてほしい」伝えることが「押し付け」でその人を苦しめる事になるとは考えたくないなぁ。

 

扱っているテーマは重たいが、由嘉里と、ライの友達たちとの掛け合いはとても面白い。

見るからにホスト以外に見えないあさひや、毒舌な作家のユキ、オネエ言葉のおじさんおしん達に物怖じせずに「推し」について早口でまくしたてる由嘉里は自らは気づいていないけれど、生命力があふれている。

あさひには、「いつもジタバタしてひっくり返った虫みたい」と言われていたが。

 

物語の終盤、ライは姿を消す。ライの元カレは言う「死体が見つからないのは希望だ」と。

残されたものは、こかで生きていて、ふらりと戻ってくるかもしれない。そんな希望を抱くことができから。そういう意味ではライはとてつもなく優しいのかもしれない。

 

ライがいなくなっても世界は続く。歌舞伎町という日本一カオスな街に、優しい世界を見た気がした。

映画をみたらきっと私はなくだろう。

 

 

 

ミーツ・ザ・ワールド (集英社文庫)

焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く……。推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は? 死にたいキャバ嬢×推したい腐女子――金原ひとみが描く恋愛の新境地。第35回柴田錬三郎賞受賞作!

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次に読みたい本

自分ひとりの部屋 (平凡社ライブラリー831)

作中で由嘉里の積読として紹介されていた本。

おしゃれな作家は、引用する物語もおしゃれやなー