浅倉秋成の「まず良識をみじん切りにします」を読んだ。
良識とか、常識とかを蔑ろにしていく過程が面白かった~まさしく最初に切り刻んじゃってるね!ちょっと、筒井康隆のSFを思わせるような突き抜けた不条理が最高。
5つの話が収められた短編集で、どれもなかなかおもしろかったのだが、特に吉祥寺の奥様が段々と追い詰められていく「行列のできるクロワッサン」が秀逸。
近所に新しくできたクロワッサン店。数人が並んでいるのをみて「クロワッサン、別に並んでまで買うほどでもないわ」なんて思っていたら、あれよあれよと行列は伸び、とうとう最後尾が静岡に。今や、あの店のクロワッサンを食べたことがない人なんていない。という有り様。
今から並んでもクロワッサンが購入できるのは2週間以上先だとわかっていても、
テントやシュラフなどアウトドア用品フル装備で、そんなに好きでもないクロワッサンのために行列に並ぶ決意をする奥様。
途中、割り込み強盗に順番を奪われ、クロワッサンが買えなかったショックで命まで絶とうと思い詰めるのだが・・・
集団心理の恐ろしさとバカバカしさがわかるお話。
このお話以外も「そうだ、デスケームを作ろう!」と閃いちゃう男の話とか、生まれくる息子に考えうる限り最高の名前を!と空回りしまくる若いパパの話など、どれも結構ツボ。
全体的に落語っぽさというか、オチがあるのがとっても私好み。(特に最後はいつ、寿限無寿限無が出てくるかと、わくわく)
ずっと言葉を探していたが、ようやく思い出した。そう、「シュール」な話が多いのだ。
特に「花嫁がもどらない」で人々が徐々に逸脱していく描写がまさしくシュール!(私が一番筒井康隆っぽさを感じた部分)
いや、この人面白いわ。この本、ロケットも反重力装置もでてこないけど、ミステリーというよりはSFよりだなー
ぜひ読んでみて、筒井康隆筒井康隆言ってる私の感想が正しいかどうか、確かめてほしい!
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「とにかくヘンな小説をお願いします」
そんな型破りな依頼に応えるべく、炒めて煮込んで未知の旨味を引き出した傑作集。
憎き取引先への復讐を計画する「そうだ、デスゲームを作ろう」、集団心理を皮肉った「行列のできるクロワッサン」、第76回日本推理作家協会賞ノミネートの『ファーストが裏切った』など、日々の違和感を増殖、暴走させてたどり着いた前人未到の五編。
これも浅倉秋成。いや、これこそが浅倉秋成。
次に読みたい本
原作がこの人で、作画がデスゲームの小畑健。
お笑いを目指す高校生コンビのとってもJUMPらしい作品。
ちなみに、朝倉秋成も小説家になる前はお笑い芸人をやっていたらしい。
すごっ!
