畠中 恵 のまんまことシリーズ「ああうれしい」を読んだ。
冒頭からして麻之助の語り口がイメージ通りで、思わずニヤリとさせられる。これはもうAudibleっしか勝たんと言っていい一冊だ。語りの力がキャラクターに命を吹き込むとはこのこと。
今回も麻之助がのらりくらりと、しかし着実に事件を解いていく。
「まんまこと」に登場するのは、日常の謎――というにはやや大事な、窃盗や詐欺事件。だが、血なまぐさい場面はほとんどなく、読後にはじんわりと温かさが残る。このバランス感覚が、シリーズの大きな魅力の一つである。
中でも印象的だったのが、「見たのに見えない存在」として登場する奉公人の描写だ。これって、確かミステリーの“禁じ手”的な話にあったよな?と思って調べてみたのだが、残念ながらノックスの十戒には該当なし。
実際にあったのはヴァン・ダインの二十則のほうだった。「端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である」ってやつ。これ、読んだ瞬間ちょっと切なくなった。欧米のミステリーって、やっぱり階級社会的な価値観がベースにあるんだなと実感。
もちろん、時代小説ではそんなダメミステリーのステレオタイプな描かれ方はしていない。
それにしても、麻之助もだいぶ落ち着いてきたなあと思う。子どもも少しずつ成長していて、次の巻あたりでは「とうちゃん!」なんてしゃべり出すのではないかと、妙に親戚のおばちゃん気分で楽しみにしてしまう。
人の子とゴーヤの成長は早いって言うけど、歳をとらない設定のシリーズではないので登場人物たちもどんどん変わっていくのだ。
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大好評「まんまこと」シリーズ、ついに第10弾!
子が生まれ、張り切る新米父の麻之助だが、相談事は待ってくれない。
悪友に妻たちまで巻き込み、
時に怠けながら、今日も果敢に揉め事を捌く!
(※よく叱られます)
* * *
〈あらすじ〉
「ふじのはな」
高利貸しの婚礼話。めでたい席の前に各所が荒れ模様に――
「おとうと」
“町名主見習い”の義弟を手伝う麻之助は猫探しを相談されて
「ああうれしい」
“ああ嬉しい”と思わせて欲しい――って、それ町名主の仕事!?
「縁談色々」
縁談の相手探しを次々頼まれる麻之助。ふと見つけた妙案とは
「むねのうち」
与力の屋敷の台所で高価なかんざしが消えた。盗人はどこに?
「だいじなこと」
友人の家で病に倒れた麻之助は“何か”を忘れてしまった気が……
次に読みたい本
ヴァン・ダイン、キンドルアンリミテッドで読めるので何冊か読んだけど
流石に古すぎてピントコないわ。多分訳が現代ふうに慣れば面白いと思うんだけど、
ここが、キンドルアンリミットの注意点だわね。
(版権きれた古いものが多すぎて、現代人には読みづらい)

