藤本 靖 の「OSO18を追え “怪物ヒグマ”との闘い560日」を読んだ。
凶暴なヒグマとして知られる「OSO18」の名を耳にしたことがある人は多いだろう。
だが、その正体がこれほどまでに複雑で、人間との関係性に満ちていたとは、本書を読むまで想像すらしていなかった。
本書『OSO18を追え』は、66頭もの牛を襲い農家に深刻な被害を与えたヒグマ「OSO18」との壮絶な攻防を記録した、藤本靖によるノンフィクションだ。
ニュースでは「怪物ヒグマ」として紹介されていたが、そのイメージが読後には大きく塗り替えられる。「今年読んだノンフィクションで一番好きかもしれない」衝撃的で魅力的な一冊。
まず驚くべきは、OSO18の知性の高さである。足跡を探しても見つからず、罠を張っても出てこない。
人間の思考を読んでいるかのような行動に、対策チームも翻弄され続けた。だが、調査が進むにつれ、OSO18は「凶暴な熊」ではなく、「家畜を襲うずるいクマ」で「ビビリ」であることがわかってくる。
さらに衝撃だったのは、OSO18が「完全肉食化」していたという点だ。通常クマの食生活は9割が草食で、残りの1割も昆虫や鮭など。しかし、OSO18はクマのごちそうとされる、セリやフキすら食べていなかった。ではなぜ、肉食に偏ってしまったのか——その背景には人間の“ごみ問題”がある。
北海道ではエゾシカが年間10万頭も駆除されているが、その多くがロース肉だけを取られ、不法投棄されているという。(ひえぇ~~~)
OSO18はそうした“廃棄されたエゾシカ肉”を食べ続けた結果、肉以外を食べない個体へと変化してしまったのだ。
この構図は、クマの異常行動ではなく、一部の人間が引き寄せた「必然」のようにも感じられる。
熊文学というジャンルがあると聞いたときは驚いたが、『OSO18を追え』はまさにその一冊であると思う。
そしてラスト。あれほど探し続けられたOSO18は、なんと“それとは知られずに”撃たれ、しかもその肉は食用として流通に乗ってしまったという衝撃の結末を迎える。
ニュースでは「OSO18が死んでいた」とだけ報じられていたが、その裏には、こんなド
ラマが合ったのだ。
とても不思議なのだけど、読後は切なくて怪物であったはOSOが、人間に運命を翻弄された可愛そうなクマに思えてきて切なくなった。
まあ、牛を66匹も襲っちゃってるから牧場の方からしたら「怪物」に違いないのだろうけど。
なぜ「OSO18」という名が付けられたのか、そんな疑問もこの本で明かされる。知らなかった人にはぜひ読んでほしい、
マジでオススメ。
こちらは、NHKの密着ドキュメントのダイジェスト版5分で解るOSO18。
https://youtu.be/meNEG3YKz6I?si=X8FlhrSl4ULA-NId
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2019年夏、北海道東部で、牛を次々と襲う謎のヒグマが確認された。捕獲に乗り出したハンターたちの数年に及ぶ闘いを描く。
<目次>
プロローグ
第一章二〇一九年・夏 襲撃の始まり
第二章 二〇二一年・秋 追跡開始
第三章 二〇二二年・残雪期 知られざる襲撃
第四章 二〇二二年・夏 知恵比べ
第五章 二〇二二年秋 咆哮
第六章 二〇二三年・春 異変
第七章 二〇二三年・夏 「OSO18」の最期
「OSO18」とは何だったのか?
あとがき
次に読みたい本
クマといえばもうコチラでしょう。ガクブルがとまらない私のトラウマ本である。
OSOが可愛く見える。


