佐川恭一の「学歴狂の詩」を読んだ。
これは「青春記」ではある。
が、甘酸っぱさも共感も、ほとんど期待しない方がいい。むしろ、その真逆。テストの点数と偏差値と志望校。
「東大・京大以外は猿」とまで言われるような、過酷すぎる学歴至上主義のなかで生き
私達猿から見ると、どうかしている気がするが全く後悔はないようである。
ひたすら勉強。部活も恋も友情もなし。狂気としか思えないのだが、本人たちは全く後悔していない。そこがまた怖い。
著者・佐川恭一は京都大学出身。偏差値という「数字」に青春を捧げた彼らが、どこかでつまずき、絶望してしまった話ではない。むしろ振り返って見ると狂ってるし間違ってたなと思いつつも懐かしんでいるような内容だ。
『学歴狂の詩』というタイトルに惹かれた人ならば、一度は「学歴なんて関係ない」と言ってみたくなった経験があるのではないか。でもこの本を読むと、その言葉が喉元で詰まる。圧倒的な努力を見せつけられると、軽々しく否定するのがはばかられるのだ。
地頭のいい天才だけが成功するわけではない。大多数は「狂ったように勉強」した先に、その栄光を手に入れている。『学歴狂の詩』には、そんな現実が淡々と描かれている。
たとえば、同じ会社を受けて、どう見ても自分より優秀に見える友人が落ち、自分だけが採用される。そこで初めて、「学歴って、やっぱり関係あるのかもしれない」と実感するくだり。痛烈である。
そういえばうちの会社の社長は「学歴くらいはあげられるだろ」とのたまっていた。
どんなに学歴なんて!と言ってもこういう人たちが採用している限り、スタートラインに並ばせてもらえないこともあるんだなぁ。
学歴がないものが学歴を馬鹿にするのは単なるやっかみでしかない。
というわけで、このエッセイが話題になっている意味がわかった。
努力の量と方向さえ間違えなければ、人は何かを成し遂げられる。
——そういう一種の信念が、本書にはこっそり込められている気がした。
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がくれき-きょう【学歴狂】
〔名〕東大文一原理主義者、数学ブンブン丸、極限坊主、非リア王など、
偏差値や大学名に異様な執念を持つ人間たち。
==========【目次】
第1章 〈田舎の神童〉の作り方
第2章 「こんなんもう手の運動やん」とつぶやいた〈天才〉濱慎平
第3章 〈東大文一原理主義者〉内山とスーパー学歴タイム
第4章 〈伝説の英語教師〉宮坂の恐怖政治
第5章 〈努力界の巨匠〉菅井が教えてくれたもの
第6章 ノートにappleと延々書き続ける〈大物受験生〉永森
第7章 京大生のヌルすぎる就職活動
第8章 佐川恭一以来の神童と呼ばれる〈後継者〉国崎くん
第9章 〈二浪のアニオタ〉柴原が深淵をつづった詩集
第10章 〈数学ブンブン丸〉片平のあまりに危険な戦法
第11章 神戸大学志望を貫いた〈足るを知る男〉本田
第12章 「二十時間勉強法」ですべてを突破した〈極限坊主〉野々宮
第13章 〈別次元の頭脳〉で学問の面白さを教えてくれた中村さん
第14章 『ルックバック』で思い出す〈神童覚醒前夜の親友〉大城
第15章 マウント柔術の使い手〈非リア王〉遠藤
第16章 京大卒無職〈哲人王〉栗山
おわりに
次に読みたい本
京都大学といえば森見登美彦。この世界観にあこがれて京大へ・・・という学生も結構いるらしい。
