奥田 英朗 の「イン・ザ・プール」を読んだ。
爽快感ある、エンタメ小説。
心に何らかの問題を抱えて「伊良部病院」の神経科を訪れた患者たちは、そのぶっ飛んだ医者のために図らずも解き放たれ回復してゆく。
彼らを迎えるのは、白衣を着たぽっちゃり中年男・伊良部医師。この男が、とにかくぶっ飛んでいる。
患者たちは最初、病院選びを間違えたと困惑するが、伊良部の“常識はずれの治療”に巻き込まれるうちに、どこか心の重りが外れていく。真面目に悩むのが馬鹿らしくなる。ものすごく曲解すれば、伊良部の存在そのものが一種の「癒やし」なのかもしれない。
本作は短編集のかたちで、それぞれ異なる悩みを抱えた患者と伊良部とのやり取りが描かれている。
中でも印象に残ったのは、強迫神経症のライターのエピソード。
彼は、タバコの火の不始末から火事になるのが怖くて、家から出られなくなってしまう。電話もFAXも「漏電して発火するかもしれない」ので使えない。
その編集とのやり取りが傑作だ。「FAXが使えないんです」「じゃあ郵送してよ」
2006年ってそんな時代だっけ?だって、今や家庭用FAXって絶滅危惧種じゃない?
20年でこんなにも日常が変わるとは。
このとんでも治療のすごいところは「説教臭いところがまるでないところ」かもしれない。
こうあるべき、みたいな硬直した気持ちをぶっ壊す不思議なパワーがある。
悩みを根本から解決するのではなく、伊良部が提案する様々なアホらしい事をついやってしまい、気がつくと悩むことのほうが疎かになるのだ。
読み終えた後に心がちょっと軽くなる、そんな作品だった。
最近文庫の表紙が変わって、新装版?になっているようです。
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体調不良のはずが水泳中毒に、ケータイがないと冷や汗がでる、勃起して、ずーっとそのまま直らない。藁をもつかむ思いで訪れた神経科で患者たちを待っていたのは──とてつもなくヘンな医者だった! カバと見まごう巨体を揺らし、度外れた好奇心で患者の私生活に踏み込み、やりたい放題。でもなぜか病は快方へ……? 続篇『空中ブランコ』で直木賞受賞、現代世相の病理をコミカルかつ軽妙な筆致で描き出す。精神科医・伊良部の突出した存在感が笑いを招く!
映画化もされている。あら、松尾スズキが監督なのね。
(ぴったりじゃん・・・)
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