iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

『働かざる者たち』意識低い系の叫びが胸に刺さる

サレンダー橋本の「働かざる者たち」を読んだ。

 

限界を感じた若者が陥りやすい挫折感と、「働くとは何か」をユーモアと皮肉を交えて描いた、れっきとしたお仕事マンガだった。

 

最初はちょっと尖ったシュールなギャグマンガかと思いきや、意外にも読み応えがある。大手新聞社の内情がリアルに描かれていて、絵柄はかなりデフォルメされているが、内容はかなり重たい。いや、笑える場面も多いのだけれど、底に流れているのは「労働」というものへの根源的な問いだ。

 

主人公・橋田は毎産新聞社のシステム部勤務。仕事はそこそこにこなしながら、副業でWEB漫画を描いている。作中では、この副業マンガの絵柄がアホらしくて毎回ちょっと笑わせられるのだが、それがまた救いになっている。

 

橋田の職場には、かつてはエリートだったが今はやる気を失った「働かざる者たち」がちらほら。希望と現実のギャップに気力をなくした人、適応できず沈んでしまった人など、彼らの過去や事情も丁寧に描かれていて、単なる「サボり社員」として切り捨てられない複雑さがある。

 

橋田もまた、彼らを軽蔑したり、自らもその仲間になろうとしたりと揺れる。だが結局は、「このままでいいのか」「自分は何のために働いているのか」と自問自答を重ねながら、自分なりの働き方を模索し始める。

 

「働かざる者たち」は、どんな組織にも生まれる現象であり、そこにはそこなりの理由がある。最終的に橋田は、周囲に流されず“自分のペースで働く”ことを選び取るようになる。これはある意味、成熟の物語でもある。

 

ちなみに、作者のサレンダー橋本は「意識低い系漫画家」と自称していて、しかも「サレンダー」とは敗北や諦めの意だそうだ。ひょっとするとこの作品も実話ベースなのかもしれない。

 

新聞社という舞台設定も興味深かった。かつてはエリートの代名詞だった職場も、今や斜陽産業。私も昨年、20年購読していた新聞をやめて、代わりにChatGPTに課金したクチである。50代でこれだから、そりゃ若者は読まないよねぇ。

 

余談だが、最近は小学校の工作で「新聞紙がない」とメルカリで買う家庭もあるとか。そんな話を聞くと、時代の変化をひしひしと感じる。

 

濱田岳主演でドラマ化もされていたそうで、なるほど納得の内容。独特な絵柄が少し読む人を選ぶかもしれないが、それもまた味ということで。

 

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働かざる者たち

出世? 窓際? 真の成功者はどっちだ!
会社にいる働かない人は何故働かないのか。
その裏にあるプライドや憎悪、子供じみた嫉妬を自身も会社員である意識低い系漫画家・サレンダー橋本が優しくひも解く衝撃のお仕事マンガ!!

次に読みたい本

校閲ガール (角川文庫)

こちらもドラマ化したお仕事小説。
希望部署以外の地味部署に回されても自分らしい「働き方」をさがして悩みながら成長していく。