福岡市科学館で行われている「伊藤潤二展~誘惑~」に行ってきた。
先週行くつもりがダラダラしているうちに日が暮れてしまったので、今日こそは前日から伊藤潤二の「死びとの恋わずらい」などを読み、気持ちを高める。
それにしても、子どもたちが喜び集う夏の科学館で、よくぞ伊藤潤二展をやろうと思ったな
ちびっこ向けの展示物にはしゃぐ子どもの横に、それなりにマニアックな大人達の列。
入口から、伊藤潤二の最大の魅力である「美しく妖しい女」富江の流し目でお出迎え。

おみくじタイプの辻占が引ける。大凶多めと聞いていたが、私のも無事大凶。

著者の直筆のサインと自画像。
この、いかにもホラー漫画家っぽい自画像がいい。
実際の伊藤潤二にはこんなに目の周りに斜線は入っておらず、極めて穏やかそうな紳士だ。

いくつかのコーナーに分かれていて、こちらは代表作の「富江」のコーナー
カラーイラストやマンガの手書き原稿がたっぷり展示してある。
かなり見応えあり。
これは、単行本の表紙になっている、有名な富江のイラスト

こちらも「富江」ちょっと明るいイメージだがツリ目と泣きぼくろが特徴。
とにかく美人なのだが、富江はホラーなのだ。
この見た目から、読んだことがない人はJホラーっぽいと思うかもしれないが(リングとか残穢とかさ)どちらかと言うと映像化しない方がいいスプラッタというか、生理的な怖さを伴う生理的にくるタイプのホラーである。

こちらも代表作「うずまき」
未読だが、イラスト原稿がたくさん飾ってあったのでなんとなくあらすじを察する。

こちらは、実は私が一番だいすきな「双一シリーズ」の双一。うん、いい笑顔だ。
ホラーなんだけど、ギャグマンガといったほうが良いかもしれない。
伊藤潤二といえば、かなりの愛にゃん家らしいのだが、こちらは奥さんの誕生日プレゼントに描いた飼い猫のイラスト。
こんなに怖くしちゃって大丈夫?と思うが、奥さんはあの石黒亜矢子なので大丈夫なのだ。
あの、石黒亜矢子は化け猫のイラストで有名だ。
縦のものを横にもしなくて大変申し訳ないが、こちらは伊藤潤二の「愛蔵品」とのこと。いきなり、誰かの家の私物がガラスケースに入れられているかと思った。

最後のグッズ販売のコーナでは、マンガのコマがプリントされた光る「マンカチ」というハンカチが販売されていて、とっても心を惹かれつつも光る必要はないか、と諦めた。
変わりに、と言ってはなんだが2冊購入してホクホク。
かなり量の手書きのマンガ原稿を間近で見ることができて大変満足。
それにしても、もともとかなり絵がお上手だったのだが、90年代以降の作品はもはや芸術的で、本人も「寡作」と言っているがこれだけたくさん描き込んでりゃ、そりゃ寡作にもなるわーと思った。(しかも本人が言うほど寡作ではないと思う)
彼の作品の魅力は「女性の美しさ」と「生理的にくるグロさ」が同居しているところと、チラリと差し込まれるユーモアだとおもう。
今回の展覧会でもイラストに本人がコメントを入れているのだが、いちいち「うっすら」面白いのだ。
このバランスが好きなんよねー
なので、私はどちらかというと「富江」や「うずまき」より「双一」や「よんむー」の方が好き。この絵柄でギャグ、この絵柄でコミックエッセイ、っていうところがツボるというか。




