結城真一郎の「難問の多い料理店」を読んだ。
ゴーストレストランのシェフが安楽椅子探偵として謎を解き明かす?
そんな一風変わったミステリー。
ウーバーイーツならぬ「ビーバーイーツ」の配達員が集めてきた情報をもとに、シェフが事件の真相を解き明かす。依頼と報告は、料理と一緒に配達員が運ぶという、なんとも手の込んだ仕組み。
超絶美形のシェフと、貧乏学生の配達員がバディを組んで推理するのかと思いきや……
毎回、別の配達員の視点から物語が語られるという構成。ちょっと意外。
しかもこのシェフ、どうやら“正義の味方”ではなさそう。
どちらかというと、闇の部分が多めのクセ者(超絶美形なのに!)。
📱SNSと現代の闇にぞっとする
それにしても、結城真一郎はSNSやネット界隈の描写が本当に巧み。
前作『#真相をお話しします』ではYouTuberがモチーフだったけれど、今回もウーバーイーツとSNSを組み合わせた空き巣のアイデアが登場して、ぞっとさせられた。
たとえば――
配達員が「おつかれさまです♡」みたいな手書きメッセージを添えて料理を届ける。
それを受け取った人が「こんなメッセージもらった!」とSNSに投稿するのを待つ。
投稿されたら“釣れた”ということで、アカウントと住所を紐づけていく……。
ありそう。
自分では絶対思いつかないけど、ありそう……!
みなさんも、むやみに呟かないよう、お気をつけなはれ。
🕵️♂️ミステリーとしては賛否あり?
ネットリテラシーについて考えさせられる一冊ではあったけれど、
肝心のミステリーとしては、ちょっと賛否が分かれそう。
特に最後の一幕。
うーん……超絶美形なのに!? なんだか残念な気持ちになる。
単純な私は、やっぱり勧善懲悪のスカッとする展開が好き。
だからこそ、「なーんちゃってね、これは回答ではなく解釈です」みたいな終わり方は、ちょっとモヤモヤするのよね。
超絶美形の無駄遣いというか。
……なんでこんなにハンサムが、っていうエピソードはないんかい!(しつこい?)
『#真相をお話しします』で大ブレイクした結城真一郎が2年ぶりに仕掛ける、
笑いあり、驚きあり、そして怖さあり……の摩訶不思議な本格ミステリ、ここに爆誕!!
――どなたもどうかお読みください。決してご遠慮はありません。
こんなミステリを、私たちはずっと待っていた!!
ビーバーイーツ配達員として日銭を稼ぐ大学生の「僕」は、注文を受けて向かった怪しげなレストランで、オーナーシェフと出会う。
彼は虚空のような暗い瞳で、「お願いがあるんだけど。報酬は1万円」と、嘘みたいな儲け話を提案し、あろうことか僕はそれに乗ってしまった。
そうして多額の報酬を貰っているうちに、僕はあることに気づく。
どうやらこの店は「ある手法」で探偵業も担っているらしい、と。
不自然な焼死体が出たアパート火災、空室に届き続ける置き配、謎の言葉を残して捕まった空き巣犯、なぜか指が二本欠損した状態の轢死体……。
オーナーは、配達員に情報を運ばせることで、どんな謎も華麗に解いてしまう。
そして、配達員にこう伝えるのだ。
――「口外したら、命はない」と。
次に読みたい本
こちらは食べる方専門の探偵。いろんな探偵が出尽くした感があるので次はどんな画期的な探偵が出るか楽しみ。
絶対なさそうなやつ・・・犯人探偵とか?