くどうれいんの「コーヒーにミルクを入れるような愛 」を読んだ。
最近本屋で可愛い表紙がきになってた作家、くどうれいん。始めて読んだ。
男性かも?とおもっていたが若い女性であった。
爆笑おもしろエッセイでもなく、かといって堅苦しいわけでもない、軽やかなエッセイ集だった。
表題作の「コーヒーにミルクをいれるような愛」は、すごく素敵なタイトル。
彼女が婚姻届を出しにいく日のの話が描かれている。
市役所の手続きの合間、
「今まさに、私達は結婚している最中なのか?結婚ing?」
なんてことを考えたりする。
そもそも「コーヒーにミルクを入れる」という言葉は、朝の何気ないひとコマから生まれたもの。
彼女のパートナーは熱い飲み物があまり得意ではなく、
彼女は「彼が彼女のために入れた熱々のコーヒー」に「彼のためにミルクと黒糖シロップ、さらにアイスを入れて」、二人で分け合って飲む。
これが、結婚というものなのね、なーんて二人していちゃいちゃしていたのに、その後二人して腹痛に見舞われる、というおまけ付きのエピソードなのだ。
こうしたちょっとしたやりとりが、甘すぎず、ふざけすぎず、ちょうどいいバランスで描かれる。
さりげないけれど、ふとした瞬間に胸の奥で響くような、そんな温かみ。少しほっこりするし、どこか懐かしさを感じる。
エッセイのひとつひとつは大きく盛り上がるわけではない。でも、それが良い。
絶妙のちょうど良さが心地いいのだ。
夜、寝る前に読むと特に心地よさが際立つかもしれない。
一日の終わりにぴったりの一冊だと感じた。
あ、文中に絵本作家の長野ヒデ子さんと交流が書かれていた。
たーいたーいのタイ子さん、懐かしい。
ふたり暮らし。書くこと。前を見て進むこと。
日々の手ざわりがあざやかな言葉に変わる。
ロングセラー『わたしを空腹にしないほうがいい』『うたうおばけ』『虎のたましい人魚の涙』『桃を煮るひと』に続く、注目作家の最新エッセイ集。
【目次】
飛んじゃったサンキャッチャー
なまけ神様
大荷物のこころ
ほそい稲妻
すばらしい枝
歯とベンツ
泣きながらマラカス
クリーニング・キッス
鬼の初恋
蝙蝠・胡麻団子・氷嚢
夜のマンション
夕陽を見せる
いやな手
見ていないし、透かしていない
コーヒーと結婚
倒産と失恋
長野さんは陸を泳ぐ
へそを出して来た
ヤドリギ
かわいそうに
ミルク
作家みたい
深く蔵す
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