宮部みゆきの「あんじゅう」を読んだ。
あんじゅうは「暗獣」とでも当てるのだろう。
紫陽花屋敷に住むかわいい妖怪?だ。表紙に描かれているとおり、黒くてすべすべしていて、でも軽くて・・・まるで人が住まない屋敷に出るマックロクロスケをを大きくしたような生き物。
実際に「くろすけ」と名付けられ可愛がられるのだが、人が住まない屋敷の寂しさをエネルギーに湧く妖怪なので、人と触れ合うと寂しさが和らぎ消えてしまう。
人間は好き、でも人間といる生気がなくなってしまうくろすけは、仲良くなった人間とふれあいたいのに触れ合えないジレンマを抱える。
結局、人間たちはこれ以上くろすけを困らせないように引っ越してしまうのだが、遠く離れて暮らしていても「今頃くろすけは歌っているかな?この月を眺めているのかな?」と互いに思い合っているから大丈夫だよね。
まだ、本当の闇があった江戸時代のおとぎ話。
表題作を含めた4つの話が含まれる。おかつさんや青野様など新しいキャラクターも加えて、ますます物語に厚みが出てきた感がある。
さすが、宮部みゆき読ませるねぇ。
一度にひとりずつ、百物語の聞き集めを始めた三島屋伊兵衛の姪・おちか。ある事件を境に心を閉ざしていたおちかだったが、訪れる人々の不思議な話を聞くうちに、徐々にその心は溶け始めていた。ある日おちかは、深考塾の若先生・青野利一郎から「紫陽花屋敷」の話を聞く。それは、暗獣“くろすけ”にまつわる切ない物語であった。人を恋いながら人のそばでは生きられない“くろすけ”とは―。三島屋シリーズ第二弾!
次に読みたい本
いろんな怖いものと共存していた江戸の人たち。
明るくなったら怖いものがなくなったのかしら?
100年後の世界からみたら、私達だって「よくぞあんな怖い思いしながらいきてたなー」って思われるのかも。