阿津川辰海の「黄土館の殺人」を読んだ。
館四重奏シリーズの第3弾、各巻は色にちなんだタイトルがついており、紅蓮(赤)、青海(青)と続いて、今作は黄土(黄色)となる。
次は何色かなー
紅蓮館の殺人が結構衝撃的で面白かったのだが、今回は地震による土砂崩れで孤立してしまった館という設定。
閉鎖されているとはいえ、タイムリミットがある、火事や水害に比べて刻一刻状況が変わるという焦りがない。
緩慢な恐怖ゆえにみんながパニックになったり逃げ惑ったりすることはないのだが、それでも信じられないくらい人が死んでしまう。
このシリーズの面白さのひとつが、探偵二人とワトスン一人という構成だと思うのだが、今作では肝心の探偵二人がそれぞれ推理を放棄したり現場に不在だったりと、まさかの展開。
結果としてワトスン役の田所くんが頑張ることになるのだが、彼の推理があと少しのところで館から救出されてしまうのが、なんとも残念。
読み終わって改めて思ったけれど、このシリーズの探偵たちはカリスマ性はあるのに可愛げがない。もう少しキャラの魅力が欲しい気もする。
その点、田所くんはワトスン役ではあるものの、ポンコツではなく、有能だしちょっとかわいげがある。さらに、今回はワトスンのワトスン役(?)である三谷くんも参戦していて、彼の立ち回りが面白かった。
いわゆる本格推理小説なので、驚愕のトリックが登場し、そのダイナミックさが醍醐味となっている。
例えば、「え、リモコンでそんなことが!?」と驚かされるようなモニョモニョがあり、物語が純粋に推理のために振り切っているのが私は好きだ。
ただ、レビューを見てみると評価が極端に分かれていて、それもまた興味深い。こういう作品は、賛否が分かれるほど強烈な魅力があるとも言えるので、むしろシリーズの方向性としてはこのあとどうなんの!?である。
リモコンでそんなことが?と驚きたいひとにはぜひ読んでもらいたい。
館四重奏第三弾!
次の館に、事件が起こる!新鋭の旗手による最新作! 事件は、岩に囲まれた館で起こる!
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もう、「〇〇館の殺人」は本格ミステリーのテンプレートだから、
ありとあらゆる館では殺人が起こると思ってよし。
岩田屋新館の殺人(福岡市民のみウケるやつ)