朝倉 かすみ の「よむよむかたる」を読んだ。
超がつく高齢者たちの「読書会」に、都会から来た「デビュー後2冊めが続かない小説家」の若者が入会し、お互いによい影響を与え合い、奇跡のような空間を作り上げる物語。
読書会って一体どんなことをしているのかなんとなく興味はあったものの、実際に何をやっているのかは知らなかった。
この本に登場する読書会は、月に一度集まり、一章ずつ朗読しながら、その読みについて語り合い、本の内容についてそれぞれの考えを話すというものだ。
故に一冊の本を読み終わるまでに、どえらい時間がかかるらしい。
OH・・・なぜか英語で感嘆してしまったが、新しい本をどんどんもりもり読み尽くしたいタイプの私とは真逆の発想だわ。
しかし「読む」という行為の本質は、こういうじっくりとした時間の中にあるのかもしれない。
読んでも読んだだけになっている自分の読書スタイルに若干のコンプレックスがあるので、こういう本の読み方は苦手だけど憧れる。
こんなふうに人生の収穫期というか最晩年に、誰かとつながっているって素晴らしいことだと思う。
何歳まで生きられるのかは誰にもわからない。けれど、ようやく子育てを終了してさてこれからは自分だけのために時間が使える様になった時、さてこれから私は何ができるのかな。
歳を重ねることがちょっと楽しみになってくる本。
主人公の安田くんは、かつて読者から「本当にあなた一人で書いた小説ですか?」という手紙を受け取ったことがある。
本人は盗作や剽窃をしたつもりはないのに、その一通の手紙によって「書けない小説家」になってしまったのだ。
しかし、その手紙には考えうる限り最も優しい理由が用意されていた。
胸の中に灯火が灯るような良い本です。
本を読み、人生を語る。
人が生のままの姿になり言葉が溢れだす。
そんな幸福な時間をぎゅっと閉じ込めたい、という願いが込められた物語です。
小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。
月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。
最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。
それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。
持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。
なぜ老人たちは読書会を目指すのか。
読みが語りを生み、語りが人生を照らし出す。
幸福な時間が溢れだす、傑作読書会小説。
次に読みたい本
作中でみんなが読んで語り合う本。
めちゃくちゃ懐かしい。この絵もまたよし。図書館で読んだなー
でもほっとんど覚えていなかった。
コロボックルが出てくることしか覚えていない。
もはや、タイトルで分かる内容しか覚えていない。
それでもいい。私を形作ったなにかの一つ。