木爾 チレンの「二人一組になってください」を読んだ。
タイトルだけのイメージで、学園青春ミステリ?とか思てたが、全然違う。
読んでて「頼むから夢オチであってくれ!」って、最後まで思っていた。
(そういえば「夢みたい」と「夢ならば」って、使われているワードはほとんど変わらないのに意味が真逆になるのがおもしろくない?)
舞台は卒業式直前の女子高。
担任先生が「【特別授業(ゲーム)】を始めます」
「二人一組になってください。誰とも組むことができなかった者は、失格になります」。と告げる。
で、「失格」ってのは、つまり死を意味するということをデモンストレーションして、生徒たちを教室に置き去りにする。
このゲームをさらに「ゾワゾワ」させてるのが、生徒たちの左胸につけられたコサージュ。
失格になった者はこのコサージュの仕掛けで無惨な最期を迎える。花が爆発したり、毒を吹き出したり、もうありとあらゆる殺戮装置に変身する。
「そんな馬鹿な!?」ってツッコミ入れたくなるくらい現実離れしてるのに、そのリアリティのなさを受け入れてしまう彼女たちが気持ち悪い。
舞台が女子高だから、デスゲームでも暴力では決定しない。
ゲームを動かすのは、リアル(なんじゃないかな?と想像する)な心理合戦。
女子高生の今までの人間関係、スクールカーストとか、承認欲求とか、裏切りや嫉妬、憧れ、などなどみんながひっそり隠したまま卒業するつもりだったものが、一つひとつ暴かれる。
特に「無自覚の罪によるいじめ」いじめてるつもりなんてない、っていやつがどれだけ残酷かが描かれているけれど、それにしたって罪と罰のバランスが悪すぎる。
「こんな非現実的な話、どうなんの?」って思いながらも、この最後まで読ませる筆力はさすが。
木爾チレンという人、初読みなのだがちょっと調べてみると、『みんな蛍を殺したかった』とか、色んな作品書いてる人だった。
あんまり読まない、ボカロやゲームのノベライズ、ジュニア文庫、ライトノベルなど、文芸以外の様々なジャンルも経験してるとのこと。
めちゃくちゃ本音と自分の顔を出している本人のnoteも発見してしまった。
それにしても、女子高生たちのカースト制度ってここまで細かく決まってるもんなの?
今は普通?それとも昔から決まってた?
https://note.com/kinachiren/n/nb159fb76de0b
卒業式直前に始まったデスゲーム(特別授業)
あなたに本当の友達はいる?誰かと手を繋がないと死ぬ――。
女子高のクラス内カーストが崩壊し、
裏切り、嫉妬、憧れ、真実が手を取り合う。『みんな蛍を殺したかった』の著者が
青春と友情の極致を描く最高傑作!
【ルール】
・二人一組になってください。・誰とも組むことができなかった者は、失格になります。その回の失格者が確定したら、次の回へと続きます。
・一度組んだ相手と、再び組むことはできません。
・残り人数が偶数になった場合、一人が待機となります。
・特定の生徒が余った場合は、特定の生徒以外全員が失格になります。
・最後まで残った二人、及び一人の者が、卒業式に出席できます。
・授業時間は60分です。
《あらすじ》
「このクラスには『いじめ』がありました。それは赦されるべきことではないし、いじめをした人間は死刑になるべきです」
とある女子高の卒業式直前、担任教師による【特別授業(ゲーム)】が始まった。突如開始されたデスゲームに27人全員が半信半疑だったが、余った生徒は左胸のコサージュの仕掛けにより無惨な死を遂げる。
自分が生き残るべき存在だと疑わない一軍、虚実の友情が入り混じる二軍、教室の最下層に生息し発言権のない三軍――。本当の友情とは?
無自覚の罪によるいじめとは何か?
生き残って卒業できるのは果たして誰か?
次に読みたい本
こちらも、ある意味クレージーだけど、女子高生に殺されたい青年の話。
田中圭で映画化もされているようだ。