第171回芥川賞受賞作、朝比奈秋の「サンショウウオの四十九日」を読んだ。
結合双生児の「瞬」と「杏」のものがたり。
結合双生児で私達がもっともよく知っているは「ベトちゃんドクちゃん」だろうか
ベトちゃんドクちゃんは腰のところで体がつながっている双子で、確か大人になって分離手術を行ったのではなかったか。
だか、この物語の「瞬」と「杏」は、傍目から観たら一人の人間に見える(よく見ると右と左で別の人であることが分かる)結合双生児で、一つの体に2つの意識が存在している状態だ。
読者は主に視点人物「瞬」を通じて物語を読みすすめる。だが、これが純文学らしいというか、途中で「杏」が話しだすシーンも有るのだ。
著者自身が「ん? これは杏?それとも瞬?」といった部分があるとの事。
結果、かなり混乱はする。だが、この混乱も狙われたものかもしれない。
体が一つで意識が2つってどういう事??と思われるであろうが、
確かに双生児ではない単生児である私たちには永遠にわからないのかもしれない。
読みながら、あと少しで世界の真実に手が届きそうな、そんなもどかしさを感じる本。
勢いで読んでしまったが、ここから何かを学び取らないと行けないのに、何もわからなかった焦燥感も覚える。
流石、芥川賞。なかなか類を観ない設定と迫力でした。
ものすごく面白いと思う人とちっともわからない人に分かれそうな作品。
同じ身体を生きる姉妹、その驚きに満ちた普通の人生を描く、芥川賞受賞作。
周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。
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山椒魚だけで3冊も!!!井伏鱒二の山椒魚しか知らなかったよ!