ちょうどこの時期に良い話だ。
近藤ようこは、原作ありの漫画をたくさん書いている。
細い線で描かれる女達はどれも怖いほどの美しさで、白と黒だけで「妖艶」をつくりだしてしまうところが好きだ。
そう、彼女は女性(と若くて美しい男性)をとても魅力的に描くのだ。
この「桜の森の~」も美しくも恐ろし女が山賊だった荒くれ男を利用しつくす物語だ。
この男ももしかしたらただの荒くれ者ではないのかもしれない。
なぜなら満開の桜の森が怖いというのだから。
散る桜吹雪を「怖い」と思うその想像力に圧倒される。
鈴鹿の山に暮らす一人の山賊.怖いものなしの山賊が唯一怖れていたのは満開の桜の森であった.ある日,山賊は旅をする美しい女に出会い,その夫を殺して自分の妻にする.わがままな女の言いなりになる山賊と,涯のない欲望を持つ女はやがて――.
次に読みたい本
混同しやすいけど、屍が埋まっているほうは梶井基次郎の詩だ。
桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!で始まるこの詩は青空文庫でも読めるのでどうぞ。