アガサ・クリスティーの「鏡は横にひび割れて」を読んだ。
今回もアガサ・クリスティの術中にまんまとハマってしまった。
まさかあの人が犯人だったなんて…!
この文句、クリスティの感想文で毎回書いている気がする。私の語彙力の問題もあるがそれほど彼女の作品が「ドンデン返し系」が多いからなのだ。
今回のあらすじをネタバレなしに書くのは大変だ。
ミス・マープルの住むセント・メアリ・ミード村にも近代化の波が押し寄せる。
村に新興住宅地が建てられそこに若い人たちが押し寄せてくるのだ。
スーパーマーケットが作られ、メイドになる者も減り、古くから住む人々は多いに困惑する。
マープルはしかたがないことだとは思いつつもそれどころではない。
歳を取りすぎたという理由で専属の付添人があてがわれ、とにかくおばあちゃん扱いされて、しょんぼり。
そんなさなか、村に大女優が引っ越してきてパーティーが開かれる。
女優が引っ越してきた家はなんと「書斎の死体」の舞台となった友達の家。
(売りに出したのだ)
そこで「殺される理由のなさそうな」夫人が殺されてしまう。
ひょっとして、犯人は殺す相手を間違えたのでは?
今回の犯人と被害者の関係はとても考えさせられる。
悪意がないからと言って許されることではないかもしれない。
特に、相手に親切を押し売りする「自分のことしか考えない人」の行動は恐ろしい。
自分がそんな人間にならないように注意したいと思います。(反省)
それにしても、今回のマープルは可哀想?だった。
いつもの推理を行おうとするも付添人に「体にお悪いから」という理由で外に出してももらえない。
『おばあさん扱い』に何度となく「英国流嫌味」で物申すのだが、一向に通じない。
最後にはとうとう思いっきり推理をするために付き添い人をクビにしちゃう。
なんて爽快!年齢を重ねても知的好奇心を持ち続けたいものだ。
「鏡は横にひび割れて」は、ミステリーとしての面白さはもちろん、悪意なき行動がもたらす悲劇が描かれている。
人間の考える事は昔も今もそんなに変わらないのよ!とお得意の理屈で人間の心の奥底に潜む複雑な感情を読むとくマープル。
彼女の姿に、歳をとってもまだまだいける!という希望の光をもらえる。
この作品のトリック、100年近く前だからとかではなく今でも十分使える。
ぜひ、みなさんもミス・マープルの推理をお楽しみあれ。