伊岡瞬の「仮面」を読んだ。初読みの作家さんだ。
---人間をいたぶるのは以外に疲れる
という独白をする犯人。サディスティクで最悪だ。
物語の中盤ですでに犯人は分かっているが、分かってからが長い。今度はなぜそんな犯罪を?がターケットになる。
意外と底の浅い犯行動機に見せかけ、やっぱり底が浅かったのね!
ただ、周辺のドラマが最後まで謎を持ち続けたままススムのでなかなか気が抜けなかった。
読字障害についてがこの本の一つのテーマ。
識字障害(ディスクレシア):知的能力や一般的な理解能力に問題がないにもかかわらず、文字の読み書きに著しい困難を抱える学習障害の一つ。
トム・クルーズやスティーブン・スピルバーグがこの障害を抱えていることは有名だ。
字が読めないってどんな感じなのか、本文中ではこう語られていた。
シマウマの模様の意味を理解しろと言ってもわからないように、文字を文字と認識できない、のだそうだ。(他にもいくつかのバターンがあるそうだが)
ディスクレシアについて知識が広がるのは良いことだ。
知能は低くないのに、文字が認識できず学力まで低いとされてしまう。
周りにディスクレシアについて知識がある人が一人でもいれば、一人のこどもの人生を救うことができるんじゃないだろうか。
識字障害にも濃淡があるだろうから、学力が低い人とされている人の中には、障害というレベルでもない識字困難な人もいるだろう。
それを言うと、あらゆる人はあらゆる尺度の濃淡でできているのであって、複雑怪異に組み合わさって、もともと特別なオンリーワンが出来上がるのかも知らない。
そうなると、もはや障害というラインは引いてもあんまり意味がなくて、神が与えたのか、後天的かはわからないが、このクセのありすぎる自分の身体を「上手に乗りこなす」ことが大切になってくる。
なるほど、なんか50にしてやっと気づいたかも。
自分の身体を乗りこなす。
そのためには自分ってこういうとこあるよねー、という客観視も必要だろうし、
できないことはしない。とか、できないことはできることで補う工夫をするとか、何かしら方法を見つけると生きるのが楽になる気がする。
だいぶん本書の内容から脱線したが、小説「仮面」はとんだクズ野郎が出てくるし、暴力シーンも多い。まずのっけの不倫のシーンからちょっとうへぇな感じでもあった。
だが、実は読むのが辞められなくて予定を一つキャンセルしてしまったほど一気読み本でもある。
人気が出るのわかるわ~
若きカリスマが隠し持つ最悪な秘密とは――衝撃の一気読みサスペンス!
読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、作家・評論家として活躍する三条公彦。知的で爽やかなイメージだが、決して他人には立ち入らせない領域があり、その私生活と過去は謎に包まれていた。一方、女性上司とともに行方不明者を捜査する宮下刑事は、おりしも白骨死体で発見された別の女性との不審な繋がりに気づく。はたして、三条は二つの事件に関わっているのか。真相を追う二人にも危機が迫る。
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タイトルに村がついてるのはたいてい面白いというのが私の理屈。