星新一の「ノックの音が」を読んだ。
15篇のショートストーリーのすべてが「ノックの音がした」から始まる物語だ。
なんてスタイリッシュ。
部屋に何者かが訪れる、物語はすべて部屋の中で完結するのだ。
あとがきで作者が言うには「場面転換がいらないから描写も少ない(故に短いストーリーに収められる)」らしい。
しかも僕は「風俗」を書かないようにしている。風俗を書くとそこから古びてしまうから、とも言っていた。
確かに、星新一の話は50年以上前に書かれているにもかかわらず、昔の話を読んでいる気がしない。(なんなら作中で携帯電話が出てきたとしても違和感なく受け入れられそうな気がする。それ以上に本当に携帯電話を予言してる話がありそう。いや、絶対ある。)
ちなみに「ノックの音が」はいつものショート・ショートと違い、N氏とかS氏ではなくちゃんと日本人の名前が出てくる。山下は、とかね。博士は博士だけど。
しかも、SFではなくミステリー系だとも言える(少し不思議な話なのでSFかもしれないけど)そこがいつもの星新一らしくさなさかもしれない。
改めて星新一の天才ぶりを噛みしめる。
なんか、こういう話を読むとよく眠れるような気がする。ちゃんとしたエンタメを摂取してすくすく育つような気がする。(なんそれ。)
私はこの人以上に読書初心者に勧められる作者を知らない。ほとんど本を読まない息子が唯一読んでくれるのが星新一である。
星新一について
星新一(1926年 - 1997年)は、日本の著名なSF作家であり、ショートショートの名手として知られています。彼の作品は、短くシンプルながらも鋭い洞察とユーモアを持ち、読者を魅了します。風俗や時代背景を描かないことで、彼の作品は時を超えて新鮮なままです。また、彼の作風は世代を超えて多くの読者に親しまれており、初心者から読書好きまで幅広い層におすすめです。
だ、そうです。私も高校生の時にしっかりハマって新潮文庫を古本で揃えたものだ。
事件は扉の向こうからやってきた――。
サスペンス、スリラーからコメディまで。「ノックの音がした」から始まる15のショートショート。
ノックの音とともに、二日酔いの男の部屋にあらわれた見知らぬ美女。親しげにふるまう彼女の正体は?
いったい、だれのところへ、どんな人が訪れてきたのか。その目的は。これから部屋の中で、どんなことがおこるのか……。サスペンス、スリラーからコメディーまで、「ノックの音」から始まる様々な事件。意外性あふれるアイデアと洒落たセンスで描く15のショートショート。
目次
なぞの女
現代の人生
暑い日の客
夢の大金
金色のピン
和解の神
計略と結果
職務
しなやかな手
感動的な光景
財産への道
華やかな部屋
唯一の証人
盗難品
人形
あとがき
カット 真鍋博
次に読みたい本
うわーこの本ほしい。とおもったら購入履歴があった。この家の何処かにあるのかしら・・・