iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

「犬婿入り」都市に生まれたの民話

第108回芥川賞受賞作、多和田葉子の「犬婿入り」を読んだ。

 

タイトルからほんのり香る通り、民話をベースにした話だ。

いつものようにAudibleで朗読を聞いたわけだが、ユーモラスで、でも軽妙とはちょっと違う、落ち着き?淡々?不思議な読みごごちだな、と思っていた。

 

さて、このブログを書くにあたり、レビューをいくつかみたのだがとにかくワンテンスが長いらしいのだ。長いことにより、粘りつくような文体になっているらしい。

ほほー

 

今までAudibleの利点はめちゃくちゃ上げていたが、さすがにこういう味わいは読み上げではわからないのである。

 

 読み始めて最初に驚いたのが文体だった。まずワンセンテンスが長い。読点「、」でつなぎながら、長いときは1ページを超えて言葉が続き、やっと最後に句点「。」がくる。ふつうこれだけ長いと、内容が頭に入りづらいのだが、不思議なことにこの作品はまったくそんなことがない。

 

引用元:芥川賞を読む 第9回 『犬婿入り』多和田葉子 | WEB第三文明

 

ワンセンテンスの長さについては思い至らなかったが、違和感はあった。

「ペルソナ」と「犬婿入り」の2つの話が収録されているのだが、どちらも主人公の女性の行動がなんだか座りが悪いというか居心地が悪いというか、予定調和の裏をかいてくるというか・・・不思議な感じなのだ。

 

もっとなんだか大切なことが語られているような「ペルソナ」

ユーモアなのかそれともシュールなのか不思議な「犬婿入り
今まであんまり読んだことがないタイプの読書だった。

 

特に、犬婿入りに至ってはかなり際どいエロスな内容なんだけど、それこそ民話みたいになんか現実味がないというか、いやらしさがあんまりない。

なんか紙芝居か影絵のような情景が私の脳内で再生されていて、太郎は結局なんなんだ!みたいないつもだったら気になってしょうがないようなことが気にならなくなるのだ。

 

受賞したときから読みたいと思っていたが、ようやく読めた。

なんと受賞は1992年下半期だそうで、ちょっとめまいがした。

 

つい最近だと思ってたけど、30年以上もそのうち読もうと思っていたのか。

 

こんな風にいつか読みたい本はどんだけあるのだろうか。
早く読まないと、新しい本はどんどん増えるのに私の残り時間はどんどん減るのだ!!

 

犬婿入り (講談社文庫)

多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に〈犬男〉の太郎さんが押しかけてきて奇妙な2人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の2編を収録。

 

次に読みたい本

積読こそが完全な読書術である

 

なんと心強いお言葉。
もはやこの本に至っては読まないどころか買わないでタイトルを読むだけ良い気がした。(そんな訳あるか)