本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞を受賞し、ミステリが読みたい!のランキング1位をとった、青崎有吾の「地雷グリコ」を読んだ。
大きめのカーディガンをゆるく着こなす女子高生「いもりや」が、数々の頭脳戦ゲームで敵をくだしていく話。
頭が良すぎて、コマがなくてもチェスとか将棋が脳内でできる人っているらしいけど、まさにそんな感じ。
表題作「地雷グリコ」は、みんなが子供の頃に階段で遊んだグリコの大人向けバージョン。
基本は普通のグリコだがルールが1つ追加されていて、指定した段にプレイヤーがこっそり地雷を設定することができ、相手が地雷をふむとマイナス10段というルールがあるのだ。
そのルールが追加されているだけで、論理パズルの要素が加わり、相手へのブラフの行使など複雑さがグッと増す。
む、難しい…
いもりやはおそらく天才で、自分を守るためになるべく目立たないようにする戦略を選んでいる。彼女の唯一の興味は友達の鉱田ちゃんで、ゲームに参加するもの鉱田ちゃんに頼まれたからという理由が大きい。
最初は、単なる高校生のゲームの話かと思っていたけど、段々といもりやの恐ろしいほどの勝負強さとか、ゲームを通して描かれる昔の友達との確執などに引き込まれていく。
よくこんな話考えつくなー
このミスではあるけれど誰も死なない、怪我もしない。純粋に頭脳戦を楽しむ一冊。
ゲーム中の心理戦の裏読み(の裏読み、のさらに裏読み)にポカーンとなっちゃうけど、鉱田ちゃんがしっかり凡人で私の心の声を代弁してくれるので助かる。
ぶっ飛んだキャラクターの生徒会長のお姉さんもいい味出している。
ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
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うろ覚えだが、たしかこの話にチェスを脳内でおこなう、っていうエピソーとがあったと思う。どんだけ天才なん?って思う。
盤も駒もいらないなんて長旅とかにとても重宝だな。