島本理生、辻村深月、宮部みゆき、森絵都という日本を代表する4人の直木賞作家のアンソロジー「はじめての」を読んだ。
読んだあと知ったが、YOASOBIの楽曲の原作として綴られたストーリとのことで、曲の方も聴きたいものだ。
どの話もよかったが、ちょこっとずつ感想を
島本理生「私だけの所有者」
アンドロイドの僕が手紙という形で今までの半生(製造されてから今まで)を書き送るのだが、段々と僕の「所有者」への想いがクリアにされていく。
ちょっとしたトリックがあって、僕が私になるのだが個々の部分はAudibleで良かったと思う。ナレーターの読みが本当に上手い。少年っぽさがなくなって女になっていくのだ。
それが、いやらしい感じが全くなくて、陶器のような美しい横顔が想像できるのだ。
辻村深月「ユーレイ」
はじめての家出の話。すべてを捨てたくなって家出して一人で来ることができるなんて思ってもいなかった夜の海でぼんやり死を想う私。
「ひとり?」と声を掛けてきたのは白いノースリブを着た影の薄い少女。
てっきりユーレイだと思い込みながらもついつい自分の事を話してしまう。
ユーレイでも良い「そばにいて」と願う私。
ところが、目覚めても彼女はちゃんとそばにいて、陽の光の元でよく見ると、白いノースリーブもしわだらけで単なる部屋着?裸足だとおもっていたのにちかくにサンダルが脱ぎ捨てられている!?
宮部みゆきの「色違いのトランプ」
はじめて容疑者になったときに読む物語
宮部みゆきのSF、並行世界の存在がわかり行き来ができるようになった世界で自分の娘があっちの世界のテロリストになっている?ありえない話なのに、この人の手にかかるとなんだか信じられてくる、流石。
それにしてもあっちの世界の娘とこっちの娘どちらの幸せも願えるのが親というものなんでしょう。
森絵都「ヒカリノタネ」
これも少しだけ不思議な話。3度も振られた相手に4度目に告白をする話なんだけど、読みながらニヤニヤしちゃう。特に好物の柿の種の下りが可愛らしっくてすき。
「柿の種を植えたら、柿の種の木がはえてくるかな?」という椎太(片思いの相手)に「多分生えないんじゃないかな」と思いつつその頃世の中の仕組みをあまり良くわかってなかった私は「植えてみよう」と答える。
案の定、柿の種の木は育たないのだけど、椎太は「僕、柿の種の森を作りたかったんだ。そうしたらみんなお腹が空かないでしょ」と残念がる。
そう、彼は自分が食べるためではなく世界のことを考えている、と気づいた瞬間に小1の私は恋に落ちるのだ。
完成された少女漫画みたいなストーリー
「はじめて」は、いつも痛くて、少し優しい。
日本エンターテインメントの最前線&最高峰!
日本を代表する4人の直木賞作家と、“小説を音楽にするユニット”YOASOBIが奇跡のコラボレーション!
小説のテーマは、「はじめて〇〇したときに読む物語」。
これらの小説を原作としたYOASOBIの楽曲が、2022年中に順次配信リリースされます。
「『私だけの所有者』ーーはじめて人を好きになったときに読む物語」(島本理生) 朗読:井上麻里奈
「『ユーレイ』ーーはじめて家出したときに読む物語」(辻村深月) 朗読:平野綾
「『色違いのトランプ』ーーはじめて容疑者になったときに読む物語」(宮部みゆき) 朗読:津田健次郎
「『ヒカリノタネ』ーーはじめて告白したときに読む物語」(森絵都) 朗読:井上麻里奈
マンガミックスリスト?
アマゾンでプレイリストならぬマンガミックスリストというものができていた。
期間限定無料とかもあり一通り読めるみたい。これまはまた時間泥棒があらわれたわー
巻数が少なめの面白いマンガリストに私の大好きなオンノジが入っていたので嬉しい。