iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「ポップラッキーポトラッチ」

奥田亜希子のポップ・ラッキー・ポトラッチを読んだ。

 

なんだか可愛らしい表紙絵と弾むようなタイトルが素敵だ。

 

ポトラッチとは、北米原住民の文化で相手がお返しするのが難しいほどいろんなものをプレゼントする習慣のことだ。

 

どうやら、贈り物をもらうことでありがたい、申し訳ないみたいな気持ちを持つことは、いわゆる呪いの一つと考えられるらしく、貰いっぱなしは気持ち悪いと言う論理と当てはまる。

 

逆に、贈り物をする方も、、富の再分配という崇高な目的もありつつも、支配や呪いという今で行なっているようだ。

 

この本は、宝くじで二億円当てた女がどうなるのか描いた作品だ。

こう書くと絶対醜い争いが起きて不幸になるような予感がするがそうではない。

 

むしろ、その不器用な生き方に微笑ましさを感じる。最後はちょっと不穏だけども。

 

耳慣れぬ方言で話す、二人の性格が真逆の女の子愛奈と忍。

 

いとこ同士の二人は、血のつながりがなければ絶対に交わる事がないタイプだ。

 

忍は、愛奈の事を馬鹿にしていようだがどうして、本当は強いと思っていて、その本音がチラリと漏れたとき感動が訪れる。

 

何かをプレゼントしてもらったら、お返しを期待してしまうのは当たり前のようだけど、その不均衡な繋がりをあえて許すのも愛情かもしれない。

 

そう、最近流行りのギバーが最後は勝つというにも繋がってるかも。

 

相田愛奈は、正しいことがなにより強いと信じている。無職の彼女の銀行口座には、幸運に得た約2億円があるにもかかわらず、節制した生活を続けている。その一方で、福祉団体等には多額の寄付をしていた。
そんな愛奈のもとに、無職かつ浪費家の従姉妹・忍が転がり込んできた。さらに、Amazonの<ほしい物リスト>で約3万円分の品を贈った相手から、お礼らしいお礼がないことに愛奈は気づく。
なぜ? どうして? 数々の出来事が正しさセンサーに引っ掛かり、悶々とする愛奈の日々が始まった。

贈与と返礼、お金と正しさを描く著者最高到達点

 

 

次に読みたい本

ちなみに、なぜか小学校のグランドなどにこっそり立っているトーテムポール、ポトラッチの風習がある北米の文化。

 

ポトラッチもせずにトーテムポールを建てるのは大変な不見解で不名誉な事らしい。

 

つまり、お金持ちの印ってことかな。

日本で言うとうだつが上がるということか。