白蔵 盈太の「実は、拙者は。」を読んだ
初読みの作家さんだが、楽しい読書だった。
八五郎は目立たないことが唯一の取り柄の町人。
目立たないというか、影が薄すぎて剣の達人ですら尾行に気づかないほどだ。
あまりにも目立たないため、そんなつもりもないのにつぎつぎと自分の周りの人々が「実は隠密影同心、実は公儀御庭番、実は今話題の辻斬り泣かせの一龍斎、実は大人気の義賊ヤツデ小僧・・・」ととにかく裏の顔をさらしてしまう。なんと愉快!
出だしは、渋めの時代小説かとちょっと判断がつかなかったが、ページを繰るに連れエンタメ全開で、最後にはなんと将軍様まででてきてしまう。
読み切り、と書いてあるがシリーズものにして「取り柄は影の薄さ」で隠密活動しても面白いと思う。
なかなか面白かったので作者の他の作品も検索してみたら、タイトルからして面白そうで、前からちょっと読みたいと思っていた本だった。
討ち入りたくないよねー、わかるわ内蔵助。
深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気づき――。影と秘密は江戸の華!? 期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。
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タイトルから連想。実は私は吸血鬼なのかな。