米澤穂信らしい、軽やかさの中にしんねりむっつりしたものが垣間見えるミステリー
あらすじで、コミカル探偵物語とあるが、これコミカルなのかなー?
自意識が肥大したこの時期特有の痛々しさが少々苦しいのは私の心が汚いからか?
あ、わかった。自分(私)が何もしなくても完璧な小市民だから、小市民を目指すなんてことを言うおこがましさをやっかんでいるのだ。
少なくとも高校生のはじける爽やか青春事件簿ではない。
と、ここまで書くとなんだか面白くないみたいだが、そんなことはない。
日常の謎ときのミステリーとしては素晴らしいでき。
何よりも、殺人どころか障害事件もない(でも窃盗と詐欺は起こる)平和だ。
主人公のボク小鳩とと小山内さんの隠しきれない毒牙が今度どうあらわれてくるか。
Audibleでは、現在「春」までしか聞けないが春・夏・秋・冬の4部作だ。どれもケーキの名前がついていて可愛らしい。確か随分時間が経ってつい最近続編が発表されたはずだ。
普通この年頃の子どもたちは「他の誰とも違う自分」「オンリーワンでナンバーワン」を目指している気がするが彼らは小市民を目指しているのだ。可愛げがない。いい意味で。(何にでも「いい意味で」をつけてマイルドにするマヨネーズ理論)
そしていつか摑むんだ、あの小市民の星を。
小市民を目指す小鳩君と小山内さんのコミカル探偵物語
小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。きょうも2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語。
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