山岸涼子の「ゆうれい談」と「甕のぞきの色」を読んだ。
私は残念ながらリアルタイムに彼女の漫画を読んでいた層ではない。
私よりちょいとお姉さんの世代ではなかろうか。完全に後追いで人生後半にハマったのだ。
先日読んだ本でも、「人生後半、そろそろ仏教にふれよう」というタイトルが合ったが要するに、この方の作品のテーマの1つの軸に歴史、和、仏教があって、刺さるのだよ。それに、繊細で美しい線画、独特の画風が仏像描かせるとかなりぐっとくるのよねー。
怖い話と仏像が似合う少女漫画家なんすよ。
ほとんどの作品にコミカルにデフォルメされた作者本人が登場しているし、萩尾望都や大島弓子などのやり取りや、体験談なども収録されているところも豪華だ。
特に早逝した同業者が仏のような姿になって現れるの観た話はおもしろかったな。
Kさん、として描かれた話は後に「花郁悠紀子」 であることが明かされる。
そして、挨拶に来たKさんの妹が実は「波津彬子」だという。ほへーとしか言いようがないな。
残念ながら花郁悠紀子は表紙を見たことしかないが、波津彬子は「雨柳堂夢咄」の人よね。ほへー
ゆうれい談は古き良き雑誌全盛期、漫画家どうしのやり取りもオープンで仲が良さそう。ホラー漫画でありながらどこか温かみのある話なのだよ。
でもって、温かみがあるとか書いたけど、このページ見たらわかると思うけど、ホントに怖いのよ。
いろいろなホラー漫画はあるけれど、この手ぬぐいを被った幽靈の絵は私が出会った漫画の中でトップクラスの怖さ。
何回見ても腕に泡立つ感覚が・・・
甕(かめ)のぞきの色とは、水瓶を覗き込んだときに、本来なら無職の水があるだけなのに、うっすら藍色にみえるこの白にごく近いかすかな淡い色のことだそう。
しゃれとんしゃーね。
https://irocore.com/kamenozoki/
残念ならが画面上だとただの水色だったわ。
何本かの話が収められているが、最後の「朱雀門」というタイトルの漫画は深かったわ。
芥川龍之介の書いた「六の宮の姫君」をモチーフにしている作品で、イラストレータをしているモダンで憧れの叔母が姫君について「よく生きなかったからきちんと死ねずに彷徨っている」と断ずる。そんな叔母を主人公の少女は最初は冷たいと感じるのだが・・・
叔母さんは何度も見合いをするのだが、どうしてもうまくいかない。
なんとなくうまくいかないと言っているが、実際は自分が拒絶をしていたのだ。
自分は「自分のすべてを認めて許して、そして愛してほしい」のに相手の中にある「自分の理想と違う部分」は決して許せない。
なんだかんだ言いながら、自分の心地よい範囲でしか生きようとしていないことに気づいてしまうのだ。
彼女は「まだ諦めてないわよ」と言って晴れやかな顔をして帰ってゆく。
あとで六の宮の姫君も読まねばー
次に読みたい本
姉妹だそうで、画風もにているよなー美しいねぇ。