万城目学の「悟浄出立」を読んだ。
期待していたぶっ飛びファンタジーかと思いきや、中国古典を題材にした4つの短編集。そのどれも、今まで脇役だったものを中心に据えた物語。
意外、でも読みやすかった。
目次
表題作、「悟浄出立」は中島敦の2冊の「悟浄」シリーズへのオマージュで書かれたらしい。
若い頃中島敦を読んでまだ本など書いたこともないうちから「こんな文章が書きたい」と思っていた題材なのだそうだ。(青空文庫で読めるみたいなので絶対読む)
みんなが知っている西遊記(といっても我ら昭和世代は夏目雅子と堺正章のあのドラマのイメージしかない それか、人形劇・・・・
表題作、「悟浄出立」は中島敦の2冊の「悟浄」シリーズへのオマージュで書かれたらしい。
若い頃中島敦を読んでまだ本など書いたこともないうちから「こんな文章が書きたい」と思っていた題材なのだそうだ。(青空文庫で読めるみたいなので絶対読む)
みんなが知っている西遊記。
(我ら昭和世代は夏目雅子と堺正章のあのドラマと、ドリフターズの人形劇が立て続けに放映されていて。もう西遊記に親しみまくった子供時代だった。未だに堺正章を観ると悟空って思うもん)
懐かしすぎて調べて思わず魅入ってしまった。今見るとめちゃくちゃオシャレじゃない??
悟浄出立はいつも脇役の悟浄からみた「八戒」や「悟空」の物語。
いつも悟ったような傍観者を決め込んでいる悟浄がそんな自分を情けなくも受け成長していく最後のシーンがかっこいい。
旅は、結果ではなく過程が一番つらくて一番尊い。
ほかにも、四面楚歌の逸話の中の虞美人の話も良かった。大変ドラマティック。
俺はいつからこうも力なき傍観者となり果てたのか。
おまえを主人公にしてやろうか! 西遊記の悟浄、三国志の趙雲、史記の虞姫。歴史の脇役たちの最も強烈な〝一瞬〞を照らす五編。
おまえを主人公にしてやろうか! これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語――。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた……。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬"を照らす五編。
ウィキペディアを読んできた。ただいま。
中島敦、33歳で夭折したそうで、この悟浄シリーズも完結をしなかったらしい。
写真で見るととっても真面目そうな感じだけど、とってもモテていたらしいですな。
この悟浄シリーズは中島版西遊記を描くつもりで始まったものらしい。
世界がスピノザを知らなかったとしたら、それは世界の不幸であって、スピノザの不幸ではない、という考え方は痩我慢だと思いますか? とにかく、僕は、そんな積りでもって、西遊記(孫悟空や八戒の出てくる)を書いています、僕のファウストにする意気込なり。
— 中島敦「田中西二郎宛の葉書」(昭和16年5月8日)
確かに、悟浄が哲学的なんだよねー。」