田内学の「君のお金は誰のもの」を読んだ。
私も目からウロコの事が多かったが何よりもこどもに読ませたいと思った一冊。
こんなに読みやすいのに、何のために働いているかがを考えさせてくれる良書。
まず、お金自体に価値があるのではない、お金は国内で使える言わばクーポン券ようなものである、と言われて、確かに・・・とおもった。
お金は、ただの紙だ。
現に、千円札の寿命は1・2年で、古くなってお札は裁断処分されてトイレットペーパーにリサイクルされているらしい。
なるほど、そう言われるとただの紙なんだよな。
だから日本の国内で流通しているクーポン券であるお金には、何も解決する力がない。
え?お金で解決できることって多くない?と思うけど、それはお金で解決しているようでそうではなく、お金が何とでも交換できる券になったからこそ、誰かが生み出した価値と自分が持っている価値を交換するときに便利なツールとして存在しているだけなのだ。
だから、お金自体が解決しているわけじゃないんだよ、と。
ああ、私ではうまく説明できないが、本書でわかりやす例え話が沢山入っているので、きっと読んだほうがいい。
たとえば、お金がない世界では何かを得るためにはお互いに欲しがるものを準備して物々交換しないと行けない。
山の民は魚を食べたいときに、交換できるようなきのことかを探して持っていく。
海の民がきのこが食べたくなければ、その交換は成立しないのだ。
くそー魚食べたいぞ!
だがお金があれば、その「きのこを採取するために働いた価値」を固定できるのだ。
そう、お金は道具なのだ。
そこで、日本国が一つの家族であると考えたら、誰もが節約してお金を貯めることにはあまり意味がないということに気づく。
これは、経済を回さないと・・・とか言うのとはちょっと違う。
お金を右や左にやりとりするのではなくそもそも「きのこを探すの(働いて得た価値)」を増やさないと意味がないのだ。
たとえは、各家庭単位ではお金をたくさん貯蓄すれば安心かもしれない。
でも、どんどん貯めることだけで、価値を生み出さない限り全体としては増えないし、結局椅子取りゲームのように今あるお金の奪いあいになってしまうのだ。
なるほど。お金は「働いた対価」だから今あるお金をAさんからBさんへ、とどんどん回すだけでは、家の中でお金をやり取りしているようなもので、この家庭全体は豊かにはならない。
いまは、皆、個人と社会、という感じで世の中を見ているから、自分の財布に入るお金が入れば良しと思っているけど、もしもっと大きな単位で自分たちと考えたらどうだろうか。
そうだから、お金は、貯めるのでも回すのでもなく、生み出し続けないといけないのだよ。
タイトルの「君のお金は誰のもの」という問いかけは、君と呼びかけられている私達がどれだけ広く「我々」と意識できるかに掛かっている。
今はまだ、君のお金は君だけのお金だけでいい。でも、これからは、自分と自分の家族、愛した人、そして愛した人の家族、とどんどん輪を大きくするして欲しい。
私は、実はこの本の中で一番目からウロコだったのは「退治する悪党は存在しない」だ。
どうしても愚痴りたくなるけど、頑張ってくれた世代がいたからこそ豊かな生活を送れているんだ。
高齢者を悪者のように、あの世代の借金を我々の世代が返すのは納得行かない、なんて話はよく聞くけれど、あの世代の人々が遊んで暮らしてたわけではないし、むしろ敗戦後のボロボロの日本を、働いて働いて私達が全員スマホをもって電気も水道も当たり前のように享受できるような国にしてくれたんだよなー
おばあちゃんもおじいちゃんも本当によく働いていた。
母もそうだ(父は稼いていただかもしれんが働いている感はそんなに・・・・)
踊ってない夜を知らない、みたいなかんじで働くこと以外を知らないような人生に見えた。
私・・・ごめん踊ってるわ!
前の世代、豊かにしてくれてありがとう!!
「え、そうなの?」が「そうだったのか!」に!
6つの謎で世界の見え方が変わる!
・お金の謎1:お金自体には価値がない
・お金の謎2:お金で解決できる問題はない
・お金の謎3:みんなでお金を貯めても意味がない
・格差の謎:退治する悪党は存在しない
・社会の謎:未来には贈与しかできない
・最後の謎:僕たちはひとりじゃない
◆本書のあらすじ◆
ある大雨の日、中学2年生の優斗は、
ひょんなことで知り合った投資銀行勤務の七海とともに、
謎めいた屋敷へと入っていく。
そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでおり、
「この建物の本当の価値がわかる人に屋敷をわたす」と告げられる。
その日からボスによる「お金の正体」と「社会のしくみ」についての講義が始まる。
格差とかに怒り狂っている人はまず偏見を持たずに一回読んでみるといい。
次に読みたい本
経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて