円状塔の「リスを実装する」を読んだ。
実装?リスを?どゆこと???っとなるけど。なんか面白かっった(小学生の作文か!)
どこがどう面白いか説明するのが難しいのだ。
リスの「マーク」を眺める男「野実実」は、高校生の時の清掃業からはじめ、とにかくずっと自動化によって仕事を奪われ続けていた。
清掃業は自動掃機(ルンバ)によって仕事を奪われたし、トラックの運転手は「自動運転カー」によって仕事を奪われた。
こう書くとすごく、みじめな感じだがなかなかどうして、男はトラックを運転していたが、自動運転によって運転手が必要なくなっても、直にトラックの配車を効率的に行う仕事にうつり、システムを作り自動化する。
出来上がったらそのシステムのメンテナンスを仕事にする。
だが、すぐにメンテナンスも自動化してしまい、タコが自分の足を食べるかのように、どんどん自分の仕事を置き換えてゆく。
そして今は謎にリスを自動化しようとしている。
これ、私の理解がイマイチおいついてないのだが、現実のリスではなくてコンピュータの中のリス(だと思う)。
プログラム上のリスはランダムに何も考えずに動き回る。木の実を見つけて食べたり、もしくは埋めたりする。眠ったり起きたりもする。
男は、自分の過去を振り返って語りながらも、着々と「リスを実装」するためにプログラムを改善していく。
何でもかんでも自動化してきた男はとうとう、神のように生物を作り出そうとしているのかもしれない。
さて、この円城塔という作家、名前だけは知っていたのだが初めて読んだ。
リスを実装する、面白いけどどう言えばいいのか分からず他の人のレビューを結構読んだ。
それによるとこの「リスを実装」は数ある円城塔作品のなかで「わかりやすくて初心者向け」らしい。
確かに、文系にもギリギリ分かる程度に噛み砕かれたプログラミング言語を聞いている感じ。そしてそれが不思議とクスリとさせられるのだ。
リスに夢を見させるために、カウンタを作って、眠って夢をみたら+1起きたら-1にしておく。
ただ、夢の中でもう一度夢をみると+2になるから夢から覚めるためには2回起きないといけない?
でも別にマークは0の状態でいても+1でも同じだ。なので、-1のマークがいても何の問題もないのだ。
読んだときはわかった!とおもったが実際自分で説明しようとすると難しいものだ。
とにかく、リスを実装しようとしている時点で真剣に話を聞かなくてもいい気がする。
珍しい読後感が得られる本。短いし夏はSFだと思っているそこのあなたにオススメ!
画面の中に広がる森を走り回るリスを観察する一人の男。男は容赦なく自動化のすすむ社会に生まれ、様々なものを自動化し、自動化をすすめることで仕事を失い続けてきた。男はリスを観察しており、読者は男を観察している。男はリスの住む世界を想像する。まるで読者が小説の登場人物の暮らす世界を想像するようにして。
(夏はSFと言っているのは私だけではないのだ。)
kindleunlimitedなので、ぜひ。
ちなみに字が小さくて「あー私この雑誌の対象年齢超えちゃったかも」と思っている。
いちいち拡大しないと字が読めないんですけど~
先生、みえませーん~と無責任に言えたあの頃が懐かしい。
今は見えないのも自己責任だもの(老眼)
色々円城塔について調べていたら東北大学のSF研究会のホームページにたどり着く。
すごいサイトだわ。読み応えバッチリ!
とにかく星新一の「処刑」が激推しされているのはわかった・・・
というわけで収録巻。絶対読んだことあるけど絶対思い出せない自信もある。
次に読みたい本
うわーこの表紙懐かしい。高校生の時によんでたなぁ。親戚の子にあげちゃったんだよなー惜しいことをした。