澤村伊智の「怖ガラセ屋サン」を読んだ。
誰かを怖がらせてほしい。戦慄させ、息の根を止めてほしい。そんな願いを考えてくれる不思議な存在――。「怖ガラセ屋サン」が、あの手この手で、恐怖をナメた者たちを闇に引きずりこむ!
怪談は作りものだと笑う人、不安や恐怖に付け込む人、いじめを隠す子供、自分には恐ろしいことは起こらないと思い込んでいる人……。
こんなヤツらに、一瞬の恐怖なんて生ぬるい!
気づいたときは、あとの祭り。
“怖がらなかったこと"を、後悔させてあげる――。
一話ごとに「まさか! 」の戦慄が走る、連作短編集。
澤村伊智といえば「ぼぎわんが来る」をかいた今絶好調のホラー作家だ。
ぼぎわんシリーズは、優秀なホラーなんだけどちょっとダジャレ落ちみたいなところがあって、しかもどんどんキャクターだよりになっていっているなーと思うのだが
(むしろ映画の方がホラーとして秀逸だと思う。)
今作は筆者が創作した「都市伝説」怖ガラセ屋サンを巡る、連作集。
「怪談なんて幼稚なものに熱中するなんて。生きている人間のほうがよほど怖い」と思っている人、いませんか?
恐怖するという感情を手玉にとる、いわば妖怪のような「怖ガラセ屋サン」。
おばけや幽霊とは違い、ちゃんと話もできるし足もある。人間のようでもあり、それにしては得体が知れなさすぎる存在。
まさに、都市伝説の口裂け女(40年以上前に本当に流行った)
いまでもあの公園にマジで出るらしい。
誰々ちゃんのお兄ちゃんが会ったらしい。
と本気で信じたことを思い出す。
怪談のように「しょうがないよね、霊だもん」みたいな?あの世とこの世が同じルールで動かないのはある意味納得できる。
でも、「怖ガラセ屋サン」は、この世のものなのにルールが通じない、というより「ルールがわからない」
なぜ、そんな事をするのか?というより、どうしてそんなことができるのか?
怖ガラセ屋サンは、「必殺仕事人」のごとく復讐を請け負う。
彼女の武器は、ひたすらに語り。
怖がらせる事で復習をするのだ。
(そんなの怖くないとおもう?結構必殺よ?)
特に一番最後の「見知らぬ人の」がめっちゃじわじわっと怖い。
記憶をどうにかするってのは本当に嫌すぎる!
こんなん、精神崩壊するわー
怖いのはお向かいのあの女ではなく自分の・・・
おっと、これ以上は言えませんや。
ぜひ、ドッカンとひっくり返されてぞ~としてくださいな。
怪談、ホラーとして読むからミステリーとして読むか?
どちらにしろ満足感が得られる作品。
いやーこれ、
主演は岡田准一だけど、むしろ妻夫木くんがマジ怖い。黒木華ちゃんもとてもよい。
ちょっと原作と変わっちゃってるけど、こっちのほうが好きかもってくらいよ。
脇役陣がすごい。