横溝正史の「塙侯爵一家 」を読んだ。
霧深いロンドンの街の片隅で秘密裡に進められたある計画。それは、莫大な資産家塙侯爵の息子で欧州留学中の安道を、思い通りに操れる偽者とすり替える畔沢大佐の陰謀だった。日本へ戻った偽安道は見事にその役柄をこなし、ライバルの晴道を押えて侯爵の信頼を勝ち取った。だが、その頃から偽安道に変化が生じた。大佐の命令に従わず、勝手な行動をとり始めたのだ。そして、あの忌まわしい老侯爵殺害事件が起きた……。横溝正史の異色長編ほか「孔雀夫人」を収録。
陰謀につぐ陰謀。
権力への執着がたくさんの人狂わせるのか?それとも本性がむき出しになるのか?
最初は美しく、自分に惚れているように見えていた美しい女性の本性が、最後むき出しになる恐ろしさ。
いやあ、お金も権力もあるに越したことはないと思うけど、ありすぎるもの考え物ですな。
しかし、安道(主人公)の偽物を仕立てようとした最大の陰謀者、畦沢大佐自身には
安道に男ぼれしているようななので、そこまでの嫌悪感はない。
それにしても、この話読み返したらちょっとおかしい場所もあるような気がするけど、まあ、ノリと勢い大事だよね!
もう一つの話は孔雀夫人
そもそも、社交界で孔雀夫人とあだ名される、一般人?というのがちょっと現代の感覚では理解できん。
でもこの人たちはタレントとしテレビに出てるけど、孔雀夫人は有名な博士の婦人なのだ。謎。
この社交界の中心人物孔雀夫人が博士の弟子に間違った恋情を抱き、自分のものにならぬと知るや恐ろしい復讐を企てるのだが、ほんとこんな人に惚れられたら災難としか言えんよね。博士には不興を買うは、婚約者とはうまくいかなくなりそうになるわお気の毒。
しかし、この孔雀夫人のやることは恋愛ではなくただの執着かと思われる。
執着はいかん。誰も幸せにしないから。
それにしても、あなたがたの恋には、ずいぶんと大きな犠牲が払われましたね。
最後の青沼ジュリアンのセリフより。
図らずとも2つとも「幸せ」についてちょっと考えさせる話だった。