テレビで見たのだが、最近のつぶやきを研究すると外出自粛が始まったあたりから、「疲れた」とか「鬱」とかいうキーワードが増えているらしい。
私も家から出ないだけなのに、想像以上にストレスを感じている。
人間とは贅沢なもので、家でゆっくりしたいなーと思っていたけど、こんだけ家にいるのはツーマッチ。大変な苦痛だった。
それに、体の節々が痛くないすか?
在宅勤務始まって体のいたるところがぽきぽき言うのだが。とにかく疲れる。
さて、疲れた違いで横溝正史の「憑かれた女」を読んだ。
自称探偵小説作家の井手江南に伴われ、エマ子は恐る恐る不気味な洋館の中へ入った。そして問題のドアが開かれた瞬間、彼女は恐怖の悲鳴を上げた。部屋の隅に燃えさかる暖炉の中には、黒煙をあげてくすぶり続ける一本の女の腕が! ここ数カ月間、日夜恐ろしい悪夢に悩み続けてきたエマ子は、それが実際の事件として眼前にくり広げられたと知って戦慄した……。名探偵由利先生と敏腕事件記者三津木俊助が、鮮やかな推理を展開する傑作長編、ほか首吊り船/幽霊騎手の2篇を収録。
憑かれた女
それにしても、ずっとどこかで読んだようなというデジャブを抱えながら読んでいたのだが、先ほど検索して解決
「2008年11月の読書記録・小説部門」 | のぽねこミステリ館 - 楽天ブログ
のぽねこ様いつもありがとうございます。
なんでも「喘ぎなく死美人」の中にも収録されている「疲れた女」は、この話をベースに書き換えられた話なんだって。
道理で読んだような読んでないような・・・すっきり!
喘ぎ泣くて・・・「喘ぎ泣く死美人」今日読んだ本「ゾンビで学ぶAtoZ」 - iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~
それにしても、エマ子はかわいい。そしてみんなが思っているよりよほど賢い。
自称探偵小説作家の井手江南(ってこれって「いてえなあ」の駄洒落なんだろうか)
この、小説家はエマ子に惚れていたんだと思う。
世の中には惚れた相手に意地悪をしたがる小学生のまま大人になった人間がいるものだが、ここまで徹底しているとしっぺ返しも大きくなる。
エマ子は美しくて、しかもほぼアル中で神経症だが、自称探偵小説家ごときに侮られる女ではなかったのだ。
自業自得としか言いようがないけど、ほんとに誰も幸せにならない。残念。
首吊り船
大陸で恋に落ちた二人は、自分勝手な親達に引き裂かれた。
美しすぎると金持ちとかから求婚されて大変だなという話。
当時は、結婚は親が決めるものだったのだろうか?父親は結納金に目がくらみとっとと娘を金持ちに嫁がせようとするし、金持ちの方はかわいそうな彼氏を自己に見せかけて殺そうとする。
そりゃ復讐もされますな。
タイトルは面妖な感じですが、トリックにかかわってくるので伏せておく。
幽霊騎手
これは、何とも愉快な話。
独特の文体、というか講談のような語り口でこれも恋のエピソードが絡んでくる。
幽霊、とあるがどちらかというと怪盗紳士とか、なんとかナイトみたいな名前の方がしっくりくるかも。
とにかく、ナイスガイなのだ。さわやかないい奴でしかも義賊。
よくある、傲慢な金持ちからだけ盗むっていうやつ。
しかも、盗人猛々しいというか、幽霊騎士役の舞台俳優が幽霊騎士なのだ。
(ネタバレって程ではないので言ってみた)
ミステリーというよりはアクション物といった感じだが嫌いじゃない。
以上、三編通じて由利先生シリーズではあるがほとんど由利先生は活躍しない。
由利先生は名前こそ「鱗太郎」なんてキラキラしているけど控えめすぎる男なのだ。
コロナ禍でお疲れの皆様、疲れた人にならないようご自愛くださいませ。