iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

これといったヒーローは出てこないけれど「殺人暦」

 先日のサイバーマンデーでゲットした「殺人暦」

残念ながら金田一耕助は出てこない。

サイバーマンデーでは金田一シリーズがなかったのだ。

 

このブログを始めてそろそろ一年。

すっかり完全に金田一耕助推しのわたしとしては、そこまで期待せずに読み始めた。

殺人暦 (角川文庫)

殺人暦 (角川文庫)

 

大新聞に掲載された五人の人々の死亡広告。大実業家、宝石王、有名女優等、いずれも今を時めく知名人。悪戯にしては余りに無気味な広告に、全員が実業家の屋敷に集まった。実は彼らには重大な共通の秘密があった。それは莫大な利権を生む人造ダイヤの製法に関する機密で、15年前の忌まわしい事件に繋っていたのだ。そして今、部屋にある鏡にいつのまにか血のような真紅の紙が貼られ、そこには第一の殺人予告が! サスペンスに富む表題作をはじめ、傑作を網羅した珠玉の推理短編集。

 

それが、思ったより面白くて!!!

短編が4本ともなかなかいい感じの大掛かりなトリック。

ちょっと、悪趣味かな?と思う終わり方もあったけど楽しめました。


殺人暦

人造ダイヤの利権をめぐるあらそい、15年の年月を経てよみがえる復讐鬼。
・・・っていうか、突然出てくる世紀の大悪党(ちょっと前で言うとルパン、今でいうと怪盗キッド的な)隼白鉄光(はやしろてっこう)。名前も透かしてますが、そこそこ気障なところもキッド様っぽい。

そしてまんまと最初だけかっこいい名探偵、結城三郎も出てくる。(こちらは残念ながら途中で失速気味)

○○が○○を好きになってしまうっていうのがあって、そこらへんのベタさもジュブナイルっぽくていい!ただ、最後の終わり方がかわいそうだった。

 

女王蜂

蛇の目を持った女と呼ばれていた紅沢千鶴。数年前に事件を起こして刑務所に入ったはずの彼女とそっくりの令嬢が現れた。果たして彼女は稀代の悪女なのか?
最後の最後に、全てが知れるとかわいそうになってくる。最後は悲しい結末。

 

三通の手紙

こちら、なんとなく昔話、三枚のお札っぽいタイトルだけど、お話し的にもなんというかなかなかやるね!といったとんち小僧さんのような話。

といっても、人は死にますけどね2人ほど。

それでも、めでたし、めでたし。という読後感。

 

九時の女

これも、悪い人にみえてる人がじつは悲劇のヒロインだったという話。

こちらは全面的にハッピーエンドで終わるので読んでて安心。

推理小説家が探偵役になる珍しいお話。ふつうワトソン役じゃないんかい?

 

全体的に、金田一物より多めに色恋が入っている気がする。(当社調べ)

金田一物ってそういえばあんまり、こういう話ないねぇ、愛憎の果て、的なのは多いけども。

短編集どれも当たりだったなと思った。

 

Amazonレビューによると、戦前の「珠玉の」短編集らしい。人によっては評価は低かったが私は読んで面白かった。

 

で、レビュー読んでひとつ気になったのだ、が…収録作品が変わっている?
どう読んでも、私が買ったkindle版には以下の作品は入っていないのだが・・・

本書は昭和七年八月に刊行された日本小説文庫における横溝作品の最初のもので、謎の殺人鬼と怪盗が対決する表題作の他、密室状況の殺人の謎解きである「三本の毛髪」と怪しい雰囲気の漂う「丹夫人の化粧台」、そして現文庫では読めない極く珍しい「髑髏鬼」の三編が併収されており、金田一耕助ものとはまた違った味わいのたのしめる作品集である。

 

そう言われると読んでみたいやんけ、髑髏鬼・・・髑髏で鬼で極めて珍しいなんて。

くそう、リンクを張ってやる~いつか探して読んでやる~

丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選 (角川文庫)

丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選 (角川文庫)

 

 

すみませーん、Amazonさん収録されてなかったですよ。これって、言えば返品交換してくれるのかしら。

電子書籍ってそこらへん、大丈夫なのかなー

さすがに返品交換は求めないが、極めてAmazonさん頼みのところありますな。

すぐにはないとは思うけど、Amazonがつぶれたら私のkindle蔵書もなかったものとなってしまうんでしょ?多分。

そ、それは困る~~!

年末年始忙しいながらもサクッと読める短編をお探しの方におすすめです。