真鍋博氏の挿絵が、いつまでも古びないのはなぜだろう、
いや、挿絵だけじゃなく星新一氏だって、今でもまだ若い読者を獲得し続けているけど。
こちら、星新一の白い服の男は、おそらく近未来で平和を尊重するあまり戦争という対念を消してしまおうとする社会を描いている。
人々は戦争という言葉どころか、セ、とすら言うことができず、
戦争について語ったり、興味を持ったことがわかると、この「白い服の男」を長とする特高が厳しく罰する。
密告、盗聴はあたりまえ、全ての法や権利が無視される恐ろしい厳しさ。
しかし、間違った方向の平和を目指した結果、人類がたどり着いた平和なデストピアを戦争を根絶することができない我々が間違っている、と言えるのだろうか。
と、ちょっと硬派っぽくいってみた。
ほかにも、ザ・星新一的なお話がいっぱい。
横領、強盗、殺人……こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ――人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた――軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
まさしく軽妙なタッチだよなー、老人と孫はテレビが大好きな孫とその子に付き合ってずっとテレビを見ているおじいちゃんの話。
孫はテレビを見ていればおりこうなので、ずっとつけっぱなしなんだけど、アニメの世界で悪い奴が死ぬから、この生放送の暴動も死ぬのは悪い奴なんでしょ?おじいちゃん。そうだよ、お前は賢いね。・・・・この繰り返しで、家の外では戦争が始まってしまっているのに二人ともただひたすらにテレビを見続ける。現実は窓の外に迫っているというのに。
そっか、軽妙なタッチだけどチクリと恐ろしさや、シニカルな笑いを含ませている。それが、星新一なのかもしれない。
今回もkindleunremitted、読み放題です!
多分読んだことあるはずなのに、何一つ覚えていなかった。
星新一っぽい!ってことしかわからない。
えー学生のころ読みまくった方におススメ!