iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

怪文書が金田一の住む街を蹂躙する「毒の矢」

蹂躙(じゅうりん)とか、難しい言葉を使ってみました。

読めるけど絶対書けない漢字。

 

タイトル「毒の矢」と「黒い翼」という2編収録を読みました。 

 高級住宅街緑ヶ丘町一帯に、突然、悪意に満ちた奇怪な密告状が舞い込み始めた。差出人は黄金の矢と名乗る謎の人物。はじめは、たちの悪いイタズラと笑い過していた人々も、殺人事件が起こるにいたり、たちまち恐怖のどん底に叩き落された。被害者はアメリカ帰りの富裕な未亡人で、むき出しの背中に彫られたトランプ散らしの刺青のうちハートのクイーンの部分を、無気味なからす羽根の矢が深々と刺し貫いていた!

 

毒の矢

 面白いのは、タイトルは毒の矢なのに、お話の中での脅迫状の主は「黄金の矢」と名乗ってるところ。 

 

この話は、「白と黒」という長編とのモチーフがよく似ているが別の話なんだそうだ。

Amazonのレビューを読んで知った。ほんとに物知りな人はいるものだ。

 

そういえば、白と黒も団地内に出回る怪文書の話でした。そして、殺害の動機に大きく絡んでくるのが性癖というか、むにゃむにゃ、未読の方のために控えますが、確かにモチーフ同じだわ。

だけど、まったく違う話になってるわ!さーすが、横溝!

 

白と黒 (角川文庫)

白と黒 (角川文庫)

 

 

高級住宅街、緑ヶ丘の町で起こる事件シリーズなのですが、(金田一はなんど高級住宅街に住んでるんですよ!?)しょっちゅうホームパーティーしているイメージ。

 

・・・金田一耕助、意外とパリピ

 

まあ、金田一が出席したパーティはかなりの確率で誰かが死ぬんだけど。

 

今回殺されたのは、アメリカから帰ってきた裕福なマダム。

殺されたマダムの死体は裸にされ背中にはトランプの刺青、そのハートのクイーンを突き刺すように矢が刺さっていた・・・

今回のトリックは、ほんとにアッという感じだった。金田一耕助の洞察力おそるべし!

土壇場で犯人が居直る場面がかなり”来てる”感じで怖い。

 

 黒い翼

人気女優の死から一年経とうとしている。

彼女が亡くなったのは、やはりパーティで毒の酒を飲んだため。自殺か殺人か?!

黒い翼という、「不幸の手紙」がきっかけで彼女の死の真相が暴かれるが・・・

 

人気女優の妹が、これでもかというくらい魅力のない人物に描かれていて、なんだかかわいそうになってくる話だ。

 

姉と比べて器量がわるいとか、性格がひねこびているとか、かわいげないとか、年上に見えるとか。

 

最後「だからしょうがない」みたいな感じになるのもとても気の毒である。

 

それにしても、不幸の手紙とは考えたな~~