帯に「武士の一分」とでかでかと書いてあった。おお、これこれ~っとおもってよく確かめもせずにレジに持っていく。
後々よく見れば
~「武士の一分」の原作である「盲目剣谺返し(こだまがえし)」は、姉妹編「隠し剣秋風抄」に収められています。~って!おい!
もうちょっと大きな字で書いてください!文春文庫。
まあ、楽しみましたからいいんですけど。と、本編とは全く関係ないところでぐぎぐりゅ~っとなってしまっていましたが、内容は
「臆病剣松風」「女人剣さざ波」「隠し剣鬼ノ爪」」など八編からなる短編集。隠し剣シリーズ海坂藩もの(で通じる人には通じるらしい)でございます。
なかでも「隠し剣鬼ノ爪」は永瀬正敏を主演に映画化されていたということを他の方のサイト(時代小説県歴史小説村)で始めて知る。ふむふむ勉強になるなぁ。
隠し剣シリーズは、とにかく代々こっそり伝えられる剣の技をめぐり、それを伝えられたものと伝えられなかったものの苦しみや、葛藤、破滅などが書かれています。
中でも希望の持てるラストになった「女人剣さざ波」がよかった。それ以外は、なんだかとっても苦しい終わり方というか余韻が残るラスト。
とくに「暗殺剣虎ノ目」はぞっとする暗さだ。この暗さ、闇の深さが藤沢周平の不動の人気の秘訣かと思ったり、単純に団塊の世代男性のハートを鷲づかみじゃろう。とか思ったり。
そして、まんまと先ほど隠し剣シリーズ「隠し剣秋風抄」を購入してしまった。私は団塊の世代なのか?あああ、思う壺!