つい先日、テレビでも映画の方(真田広之主演)をやっていたみたいですね、見損ねたが。
それにしても、最近「藤沢周平」さんがフィーチャーされている(ような気がする)。
キムタクが主演した武士の一分も彼の原作であるし、私のなかで「注目株!」というポップが立った状態でした。
初めて手に取った文庫本はこれ。かなり期待していたので、短編集ということでまず驚いた。「映画一本分」くらいの長編かと思っていたので。
そして、最初の一編「たそがれ清兵衛」を読み終わり、あれ?あんまりかっこよくない・・・真田広之と思って読むからなおさら。
やっぱもう少し人生経験積んでから読んだ方がよいのか?等と考えていました。
しかし、さすがは高く評価されているだけはありました。最後の「祝い人(ほいと)助八」まで読んでなんというか「いい読書をしたなあ」という幸福感。
8つの短編集のベースは「腕」はあるけれど評価をされていない人々。変わり者とされ、全員へんてこなあだ名をつけられているが、彼らは世間ではなく自分の中のルールに従う強い人でもあるのだ。
たしかに、武士といえどもこのころは腕力だけで生きている人はおらず、今のサラリーマン達とおなじく如才のなさが求められているのだろう。
実際タイトルはすべて「うらなり与右衛門」とか「ど忘れ万六」「日和見与次郎」等少々あざけりを含んだものばかり。
しかし8編読むと、本当に強い人は孤独であるのだというのがわかってくる。私の浅い人生経験でも十分楽しめましたよ!藤沢周平。
ところで、大好きな池波正太郎さんとくらべると、なんつーか渋い、控えめで地味な感じもします。どちらもかっこいいけど、たとえて言うなら水墨画と蒔絵のちがいのような。